第28話 琴乃匠の忙しい一日

朝4時半、1月極寒の朝である。

いつものように朝飯を作ろうと思い、布団から起き上がると何故か背中が痛い。痛すぎる。

今日は木曜日なのでチア部の練習があるはず。また連行される。そう思いながらパンケーキを焼くことにした。3人分焼けば足りるだろう。


6時2分、愛央が起きてすぐポニーテールを作った。あー始まる。と思ったら元気がない。え?まさかと思い、愛央に話しかける。


たく「はよ。愛央」

あお「おはよう・・・たっくん」

たく「愛央、腹痛いのか?」

あお「うん・・・。今日部活休もうかな・・・」

たく「無理して行かなくていい。学校も休む?」

あお「でも授業が・・・」

たく「おいおい、俺が骨折したときにオンライン授業の環境整えてくれたべ。愛央はそれを使いな。俺は普通に学校行くから」

あお「たっくん、一緒にいてくれる?」

たく「あに?俺がいねぇとおいねぇって?そらおいねぇなぁ」


俺はとりあえず担任の先生に愛央が休むってことを伝えた、がなんと公欠扱いにしてくれたのだ。は?え?なんで?と思ったら「愛央と俺は2人で頑張るでしょ?片方かけちゃったらダメじゃないの。だからふたりとも公欠にしておくから、休んで」とのこと。あーマジ最高。波野先生ありがとうございます()。


7時00分になるとあいちゃんも起きる。あいちゃんは朝起きるとすぐに俺のところにきてミルクを欲しがる。今日は家にずっといるので相手をしてあげられる。


あい「にーにーあしょんで!」

たく「いいよ」

あい「やったぁ〜!」

たく「何して遊ぶ?」

あい「えっとね!おままごと!」


普通に喋れてる。1歳1ヶ月になったあいちゃんはあまり泣かなくなった分よく喋るようになったのだ。少し遊ぼうかと思ったところで愛央が話しかけてきた。


あお「たっくーん」

たく「あにした?」

あお「湯たんぽ変えてくれる?」

たく「いいよ」


湯たんぽってどうやって作るんですか()と思ったがそれはもうネットで調べれば分かる時代。湯たんぽを変えてあいちゃんと遊んでいた。


昼になり、愛央が着替えてきた。楽さを重視して白いワンピース。チア風となれば広がり方がかなり可愛い。下にボリューム増加用の白いチュールスカートを履くとそれはそれはもう普通の愛央。ポンポンを振り始めて少し運動をしている。キラキラと輝くポンポンの音と笑顔でエールを送る愛央はいつ見ても1番可愛いって思えるシーン。超かわいい。


そしてポンポンを持ったまま俺に抱きつくのもこれまた愛央が可愛いって思えること。


あお「フレ!フレ!ほ・う・な・ん!!」

たく「すげぇ上手いなぁ」

あお「ぎゅっ♡」

たく「えっ?」

あお「ぎゅ~ぅ♡」

たく「そこで甘えるの!?」

あお「たっくんだいしゅきだもん」


こういった愛央はメガホンとポンポンだけを持ってまた俺を外に連れ出した。白いワンピースを揺らして近くの公園へ。ぷかぷか頑張って飛んできたあいちゃんは俺が抱っこしていた。


たく「何故にメガホンとポンポンだけ持ってきた」

あお「春の選抜に選ばれるからチアの練習しないとなぁって!メガホンは「かっとばせー!穂高!」って感じで声出して応援するときに使うの!愛央声小さいから・・・」

たく「ポンポンは?」

あお「たっくんの応援!」

たく「相変わらず」

あい「ねーねー!」

あお「なぁに?」

あい「あいたんもおうえんちて!」

あお「いーいーよ!シャカシャカシャカ〜♡」

あい「きゅぴ〜♡しゅき♪」

たく「んなの家帰ってできるべ」

あお「たまには外の空気吸って応援練習やりたいの!」


まぁ確かに家で引きこもるより外でたまにやるのもいいのか・・・。チア部の練習がない分、自主練で愛央は補うらしい。普通美女ってモテるのに愛央はそれを断ってまで俺の事を労るのだ。兄嫌いの妹もよくいるはずだが愛央は全く逆の立場で、俺の背中を見て育ったって言っている。だから俺は愛央を大切にして、逆に愛央も俺を大切にするのだ。


自主練を15分やると時刻は16時00分。俺は今日バイトのため、夕食を作ってから行く。といっても軽めの夕飯。どうせ後で作るけどね。


たく「軽めの夕食作ったから食べといてね」

あお「うん!ぎゅ~っ♡たっくんふぁいと!」

たく「ありがと」

あい「にーにーどこいくの?」

たく「お仕事してくるね」

あい「ぎゅーぅ♡」

たく「ありがとね。んじゃ、行ってくる」


17時からの勤務。閉店は20時。他の人たちは950円なのに俺は勤務態度の良さを買われ1200円に昇給していた。3時間で3600円である。今日も頑張って働くぞと思いずっと仕事をしていた。20時15分に退勤。残業代が出るぜやったわ。家まで徒歩5分なのですぐ着く。


あお「おかえりっ♡たっくん♪」

たく「ただいま」

あお「あいちゃん寝ちゃったよ」

たく「あーらそっか。眠たかったからかな」

あお「愛央も眠い・・・」

たく「寝ていいよ。俺風呂入って布団行くから」

あお「うん!おやすみ」


愛央はそう言って布団に入った。あいちゃんは俺の布団で寝ている。風呂に入り一人で夜を過ごすのが俺の日課。普段は24時00分就寝4時30分起きの生活をしているのでここで1時間復習をしてから布団に入って寝るのだ。


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