第27話 Christmas Eve
12月24日。クリスマスイブ。
学校は今日から冬休みとなり、街はクリスマスムードになった。夜には雪が降るらしく、実に5年ぶりの雪とのこと。今年の冬は寒いらしい。
愛央は重ね着をしてクリスマスパーティーに備えていた。俺は暇なので相変わらずのパーカーとジーパンで編集中。あいちゃんはぷかぷか飛んでいたが、なにか落ち着かない様子。時刻は12時前ということもあり、そろそろお腹がすいたのだろう。
10分でミルクを作るとその匂いに反応したのかあいちゃんが抱きついてきた。
あい「にーにーミルクちょーだい!」
たく「お、匂いで分かったのか。いいよ。お膝乗って」
あい「ぎゅーぅ♡きゅぱきゅぱきゅぱ」
たく「美味しい?」
あい「きゅぴ!」
ミルクに味ねぇだろ普通。でもあいちゃんのミルクには味をあえて入れた。これにより、あいちゃんが甘いとか辛いってのを分かるようにするためだ。
とは言ってもクリスマス。世間の雰囲気に俺は負けそうだった。が、愛央は珍しく早めに飯の準備をしていた。
あお「たっくん♪ご飯食べよっ♪」
たく「いいけど」
あお「ぎゅーぅ」
たく「何やってんだよお前」
あお「いいじゃん!クリスマスなのに・・・」
愛央、お前彼女じゃなくて妹だろ。なんで友達と過ごさないのか。俺は謎だったが愛央は俺がいちばん大事にしたい人らしく、友達よりも大切らしい。
数時間後にデートコーデを着た愛央はもはやお決まりのように外へ行った。もちろん、俺とあいちゃんを連れて。そうか、クリスマスといえばクリスマスプレゼントか。あいちゃんのプレゼントを買うということなのだろう。懐中時計の針は17時15分を指している。このあと18時から雪が降る。早めに帰ってクリスマスパーティーにしよう。
あい「きゅぴ〜♪」
あお「これがいいの?」
あいちゃんがぷかぷか飛んで向かったのは布団のコーナー。おいおい、ホムセンじゃねぇのに布団ほしいのかよ。本音はさておいて本当に欲しいのは違うもので、やっぱりおもちゃコーナーに行った。
たく「やっぱプレゼントっっったらここだべ」
あい「きゅぴ~!」
あお「欲しいもの、1個だけね!」
あい「あい!」
たく「愛央ちゃん」
あお「なに?たっくん」
たく「あんたも欲しいもん1つだけ。買いな」
あお「いいの!?」
たく「買え。クリスマスだろ?」
あお「うん!ありがとう!」
青いチュールスカートを揺らしながら、愛央はどこかへ行ってしまった。それから2分もしないうちにあいちゃんがぷかぷか飛んで俺のところに抱きついてきて、欲しいものを見せた。
あい「これ!ちょーだい!」
たく「高っ、これいくらだ」
あい「きゅ〜ぴ♪」
たく「ありがとう。えーと、1280円。これでいいの?」
あい「うん!あいたん、これがいい!」
何かと思ってみたものはペンタブレットだった。
俺らの持ってる普通のタブレットじゃない理由はお絵かきをして遊ぶからだろう。価格も1280円でお手頃。あーそいや愛央あじしたっぺなぁ。どこいったんだろ。って思ったら愛央がバックハグをしてきた。こいつなかなかやるなぁ。店の中でぎゅーしねぇだろ普通。
あい「ねーねーぎゅ~♡」
あお「あいちゃ〜ん♪大好き!」
あい「ねーねーしゅき!」
会計中に愛央たちはハグしたりだの色々やっている。まぁでもJKってそんなもんか。
家に帰ると甘える2人を横目に18話で作ったタルト・タタンを作る。愛央はいつものようにチアを踊っているのだが、またあいちゃんが落ち着かない。
あお「あいちゃん、どうしたの?」
あい「ひっく、ひっく」
あお「たっくんどうしよう」
たく「どした?ミルクか?」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
たく「とりあえず急ぐか」
クリスマスイブにデート服でチアってありえないコーデで応援する愛央を横目にミルクを速攻で作った俺はあいちゃんをだっこしてミルクを飲ませようとした。が、その時に愛央が言った。
あお「わたし、ミルクあげていい?」
たく「いいよ」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!ねーねー!!!」
あお「大丈夫♪すぐ上げるね♡」
あい「きゅぱきゅぱきゅぱきゅぱ」
愛央がミルクあげること自体珍しいのだがあいちゃんは愛央のニットをずっと握ってる。タルトを作りながら何してんだろって思ったけど、あいちゃんはたまに愛央とずっといたいって言い出す。だから一緒にいたいんだろう。
1時間後、タルト・タタンが完成した。19時になってしまったので早く食べよう。
あお「彼女とクリスマス過ごそっ♪」
たく「双子の妹やのに何が彼女だよ」
あお「私にとっては双子でもたっくんは彼氏っぽいの!」
たく「まぁいいや。食べるよ」
タルト・タタン アップルシナモンチア風味はいつも美味しいが、クリスマスにこれを食べるとこれがマジで倍以上に美味い。
この1年色々あって、俺はなかなか頑張れなかったり、ずっと落ち込んだりしていた。でも、愛央がポンポンを振ったり、甘えたりしたから頑張れたような気がする。来年は嫌な事が起きそうだが、そんなときあいちゃんが甘え、愛央が励ます。だから比較的安定するのかもしれない。
クリスマスプレゼントを渡し、俺らは3人で一枚の布団にこもって寝た。俺、女子に挟まれて寝るのがこれ実は初だったりする。ぐっすり寝て明日も頑張ろな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます