第26話 3人の誕生日会
12月に入り、世間はクリスマスムードになっていた。今年はクリスマスパーティーなんかやらねぇだろうって思っていたが、双子の妹、愛央が白い長袖のセーターと白いチュールスカートを着て、ポンポンを持ち始めた。
あお「今年の冬も 鐘の音が 鳴り響く頃 キャンドル灯し、なんかうまく行かないなぁ・・・」
たく「何踊ってんの?」
あお「冬のある日の唄ってたっくん好きでしょ?愛央、そのチアアレンジ踊ってるの!」
冬のある日の唄は、GReeeeNの曲。俺はその曲が好きだが、愛央はその曲を踊っていたのだ。愛央は俺のためなら何でもやるって言う子で、俺は別にやらなくてもいいってタイプ。愛央の好きなようにやらせているのだ。
さて12月といえば師走。うちは会社が忙しくなり、俺らはテストを終えたばかり。あいちゃんと毎日遊んでいる。30分勉強したらあいちゃんが必ず小さな羽根をぱたぱたさせてぷかぷか飛んでくる。愛央と俺、どちらかに飛んでくるので、週末はいつものようにお出かけをしようとしている。
そしてあいちゃんの誕生日が近くなってきた。もうすぐ1歳になるので、愛央がなにか買いに行こうとしている。実はあいちゃんの誕生日に合わせ、俺らの誕生日会も12月6日の18時からやることにしたのだ。
あお「たっくーん、あいちゃんの誕生日って12月6日だよね?」
たく「やべ、すっかり忘れてた。明日やん。買いに行く?」
あお「私達期末考査も終わったし、明日は土曜日だから、デートしよ♡」
たく「えっ、ガチ?」
あお「うん♡」
愛央にとっては週末どこかに行かないと気がすまないのだろう。チアを踊るのも好きだが、それはあくまで俺がいるから。一番好きなのは俺を彼氏にして出かけること。愛央はよく告白されるのに、断ったうえ、俺が好きだから彼氏にして出かけるのだろう。双子なのに。
翌日土曜日12月6日、あいちゃん1歳の誕生日。
愛央は紺色のチュールスカートとグレーのニットセーターを着て、俺に話してきた。
あお「たっくーん」
たく「ん?」
あお「お出かけしよっ♪」
たく「そだね」
あい「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
たく「おーっと主役が泣いておる」
あお「あーいーちゃん。ごはんだよ!」
あい「きゅぴ?ねーねー!ぎゅ~」
あお「あいちゃん!たんじょうび、おめでとう!」
たく「おめでとー」
あい「ぎゅぅぅぅぅぅー!」
あお「ぎゅ〜っ♡」
愛央の赤いマフラーと紺のチュールスカートが風で揺れながら、外に出てきた。俺は普通にパーカーとジーパンだが流石に寒くて体に負担かけさせたらダメなので厚手のものにした。
しばらく歩くといつものショッピングモールに着いたが、愛央が手を繋いで行きたいって言い出したからまぁたまにはってことで手を繋いで入った。
あい「にーにー、ごはんー」
たく「お腹すいたの?」
あい「きゅぴ」
あお「もう12時だもんね。愛央もご飯食べたい♪」
たく「んだぁ、どっか食い行くべ」
普段は容赦しない俺がこのふたりだけはなんでもいいよって言ってしまう。この子達が一番俺のことを大事にするから。以前、合唱祭で金賞を取れずにずっと落ち込んでいたときがあった。その時俺は指揮者をやっていたから。クラスメイトはなんか色々言ってきたけど、嫌になりすぎて口すら聞かなかった。だが、うちの愛央とあいちゃんだけはこう言ったのだ。
あお「たっくーん」
たく「あんだよ・・・」
あい「きゅーぴ!ぎゅ~」
あお「金賞取れなかったのにたっくんすっごい輝いてる!」
たく「それはお前がポンポンを振ってるからだろ」
あお「ふふっ♡でもそのくらい、たっくんは頑張ったの!」
あい「にーにー、まんま」
たく「ミルクかぁ、どこいったかな。えーと、あーあったあった。はいどうぞ」
あい「きゅぱきゅぱきゅぱ」
たく「よう飲んでるなぁ。はぁ一度くらい金賞取りたかったのに・・・」
あい「ん〜〜〜!きゅぴらっぱぁ!」
たく「えっ?」
あお「あいちゃん?」
あい「あい!じょーぞ(どーぞ)!」
たく「えっマジ?あいちゃん、すごーい!」
あい「しゅごーい!」
あいちゃんのおまじないで出てきたものは、なんとびっくりあいちゃんの金メダル!その時愛央は「首からかけてあげる♪」って言ってかけた。なんか、すごい。負けたはずなのに、勝ったような気分。
愛央はポンポンを振ってるし、あいちゃんも大喜びしてる。なんかよくわからないけどとりあえずすごい。そんな気分で家に帰ったのだ。
さて1番俺を大切にし、俺も大切にする2人だが、あいちゃんは愛央に抱かれて来たのにぷかぷか飛んで俺のところに来た。お腹が空いてグズりだしているのだ。ミルクをあげて俺らも昼飯にすることにした。お昼ごはんを食べたあとは誕生日プレゼントを買ったり、ケーキを買ったりした。
家に帰ってきて誕生日会の準備をしていると、愛央が話しかけてきた。
あお「たっくーん」
たく「あじした?」
あお「チュインテールちゅくって」
たく「噛んでますけど大丈夫ですか()」
まぁ言いたいことは一つ。ツインテールを作ってくれと。パーティーだからねぇ、まぁ作りますかぁ。
ササッと簡易的なツインなら2分以内に作り終わる。これでいいだろうと思い、少し準備した。
17時53分41秒、ようやく作り終わった。
さて、誕生日会の始まりだ。
あいちゃんが選んだケーキを一口食べると、めちゃくちゃ美味しかったのだ。美味すぎる。
誕生日会を終えるとあいちゃんがぐっすり寝てしまった。俺らも次第に眠くなり、寝てしまった。
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