第24話 重ねてしまう・・・双子の気持ち
10月に球技大会となり、今日はその大会当日だった。体育祭以上に愛央の不安は大きく、ここ2〜3日は元気がない。球技大会で勝っても負けても、不安にさせた分何かしてあげたいと思っているが、夜中の4時に起きてすぐ考えるとこんがらがってくる。
息抜きがわりに朝飯を作ることにした。今日はフランス風料理。スクランブルエッグにクロワッサン。結構久しぶりに本気で作っている。
6時に愛央が起きてきた。今日はポニテで行くのかなと思っていたが朝起きてすぐに・・・
あお「たっくーん!おはよー!」
たく「おはよ」
あお「ぎゅー♡」
たく「はぁ?」
あのまだ朝の6時なんですが。そんななかで愛央はハグをしてきた。当然俺は困るが、愛央が甘えたい時は朝のハグをしないとダメらしい。そして今日はチアの本気を見せたいらしく、編み込みツインテールを作ることにした。
6時20分、制服に着替え終わった俺と愛央が次にやるのはあいちゃんを起こすこと。起こしたらまず最初にオムツ替え、ミルクなどをして、そこから俺らの飯になる。起きると必ず泣くので泣いてから行ってあげようかと思ったがそんなだるいことはしたくないので普通に起こしに行く。
たく「あーいちゃん」
あい「きゅぴ・・・ひっく・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
たく「大丈夫大丈夫。オムツ替えてあげるから。あとはミルク飲もうね」
あい「きゅぴ・・・あい!」
機嫌が治ったあいちゃんはミルクをたっぷり飲んだ。そして大喜びな顔で俺と愛央に言った。
あい「にーにー、きょうなにやるの?」
たく「あんだっけなぁ?今日球技大会があるけど」
あい「あいたん、ねーねーと応援しゅる!」
あお「えっ!?」
たく「はっ!?」
あい「きゅぴ?」
たく「え、マジ?」
あい「きゅーぴ!」
あお「お姉ちゃんと応援するの?」
あい「あい!」
さぁ俺ら双子はここで困った。あいちゃんは自分の応援ポンポンを持ってない。が、あいちゃんはホイッスルを吹き鳴らして応援するとのこと。ってことは、愛央とあいちゃんの姉妹応援が成立するってことだ。穏やかじゃないわこれ。
学校について外へ出ると、あいちゃんのおまじないが発動した。
あお「あいちゃん、ここで応援するんだよ」
あい「きゅーぴ!きゅぴらっぱ〜!」
あいちゃんの不思議な力は何を出すか分からないが、今回は応援用のホイッスルとメガホンを出した。
あい「きゅぴ!」
あお「愛央がポンポンとメガホンを使って応援するの?」
あい「あい!ピーッ!」
あお「わぁ〜おっきいおと〜」
あい「きゅぴぴぃ!」
俺はその頃体育館で男子全員で気合を入れていた。
たく「行くぞ!」
男子「しゃあ!」
あお「たっくん!」
たく「んだ?」
あお「愛央とあいちゃんのはちまき、結んで!」
たく「いいよ」
水色のチアユニを着ていた愛央に編み込みツインは超可愛く似合う。そしてあいちゃんも珍しくお団子ではなくツインテールを作った。そんな2人に青色のはちまきを結んであげて、俺らは外に出た。
グラウンドに出ると、波野先生が待っていた。
先生「愛央!匠!あいちゃん!」
あお「せんせ〜!待っていたんですか!?」
たく「おはようございます先生」
あい「てんてー!あいたんねーねーとおうえんしゅるの!」
先生「あいちゃんが応援するの!?」
たく「らしいですね。愛央はうちのクラス唯一の応援団だし、まぁ何とかなるんじゃないすか?」
先生「なるほどね。じゃあ、3人で写真撮る?」
たく「あ、じゃあ俺の携帯でお願いします」
先生「おっけー!いくよ!」
愛央は俺の横でポンポンを持って、俺はあいちゃんをだっこしながらピースをした。
3人の写真は後日らしいが、この時の俺と愛央の気持ちは重ねてしまった。いや、重なったのだ。
あお「たっくん・・・思ってること、同じ?」
たく「多分・・・おなじ」
愛央が思っていることは、球技大会で負けた時に俺がキレないかとか頭痛にならないかが心配で仕方がないのだ。俺も同じだった。
午前10時の開会式後は2時間ずっと試合だった。
あいちゃんと愛央はずっと不安なのか、E組の応援席でずっと不安になりながら応援していた。
最後の試合はソフトボール。E組VSD組の対決だ。
愛央とあいちゃんはスタンドで応援するらしく、
あいちゃんは愛央にだっこされながら、お昼のミルクを飲んでいた。
あい「きゅぱきゅぱきゅぱきゅぱ」
あお「おいしい?」
あい「うん!」
あお「たっくん、試合前だってのにミルクを作るなんてそこまでやらなくてもいいのに・・・大丈夫かなぁ。あいちゃん、たっくん達勝てると思う?」
あい「うん!にーにーぜったーいかちゅ!」
だがこの結果はD組がかなり強いせいで大ハズレとなる。あいちゃん達は一生懸命に応援するが、結果は7回コールド。16-0で負けとなった。
教室に帰ってくると、あいちゃんと愛央が後ろからハグをしてきた。またか。でも愛央達、体育祭の時とおなじだ。まさかと思い、後ろを向くと、予想通りの大泣き。これで教室入るのはおいねぇだろうと思った俺はとりあえず鉄研部室に連行。部室は朝から晩まで開いてるので入ろうと思えば入れる。もちろん部室は鍵がかかっているが、暗証番号式なので知られることは無い。
あお「うぅ・・・」
たく「いきなりあにしてんのよ。とりあえず水飲めや。んじゃなきゃおいねぇんだべ?」
あお「ありがとう・・・」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
たく「あーらあらあら、こっちの方が凄いようだな」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!にーにー!!!」
あお「ぎゅー♡」
たく「えっ?」
あい「ぎゅー♡」
たく「はっ????」
あお「たっくん頑張ったから、あいちゃんとぎゅーするって、さっき決めたよね!」
あい「きゅぴ!にーにー、見て!」
たく「あんだこんどはって・・・・はぁ!?」
あお「えっ!?あいちゃん、すごーい!」
あい「しゅごーい!あいたん歩けてる!」
ちょままぁ!?あいちゃんが立っててしかも歩いてんの!?
どうやらさっき歩けるようになったらしい。確かにつかまり立ちとかは最近してたけどさ、歩くなんて思ってねぇよ。すごい成長だなぁ。
ホームルームを終え、愛央がポンポンを持ったまま帰るということで、俺がリュックを持つことになった。中にはタオルや俺のタブレットなどが入っているが、それよりもあいちゃんがてくてくトコトコ歩いているという現実。成長が早いなぁと感じた。
家に帰ってきて、俺らの部屋に入ると、愛央は疲れて寝てしまい、あいちゃんは羽根をパタパタさせて飛んだ。いたずらなどはしない子なので、飛ばせておくだけならどうってことも無いが、なにか落ち着かないあいちゃんは次第に俺のところに飛んできてぐずり出してしまった。
あい「きゅぴ〜、ひっく、ひっく」
たく「どうしたの?あいちゃん」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
たく「・・・眠たいのかな。お昼寝しないで応援してたからね」
あい「ひっく、ひっく、きゅぴ・・・」
たく「おやすみ。ありがとね。あいちゃん」
2人とも大きい声ずっと出して疲れちゃったもんな。お疲れ様。ありがとね。よく寝てくれ。
俺はそう思いながら、夕食を食べていた。
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