第5話

side走竜&武智

「「ーーッ!」」


そのナニかに言葉を失う。

それは全身に海藻が絡まった化け物だった


「逃げろ!」


彼の声が聞こえる。

でも、体の震えが止まらない。

どん。

怪物がこちらに向かって来た

どん。

一足踏み出すたび、大気が震え、軽い地響きが起こる。

イヤだ、捕まりたくないと思う反面、

体はガタガタと震え始め、全くいうことを聞かない。

どん。

もう目の前まで来た。

このまま捕まってしまうのか。

と考えた瞬間、


「馬鹿野郎!」


と怒号が聞こえ、天と地がひっくり返った。

何が起きたのか分からない。


「ッーー!!??」


首の後ろに激痛が走る

痛みと共に、とても眠くなった………

このま……ま…じゃ……捕……ま…る

それが武智の最後の思考だった。


side走竜

なんだかよく分からないが、

本能が全力で警笛を鳴らすあの化け物に対し

何もしない電話を引っ張り投げ、

手刀で気絶させた。


「なんでこうなるんだよ……」


そう愚痴を吐きながら全力で走る。

電話は背負ったまま。


「出口は……?」


漂着したほぼ瞬間に化け物と遭遇したのが悪かった。


「う……ぁ………」


背後の海坊主モドキが声を出す

チッ……

電話なんて見つけなければ置き去りにしてでも逃げたのに…

目の前で死なれると寝起きが悪くなるから。

……取り敢えず、姉と合流しよう。

姉なら……

そんなことを考えながら走る。

洞窟の角を曲がった瞬間、声が聞こえた。


後ろから。


「ま……待て!俺は人間だ!」


思考が停止する。

待て、おかしい。こんな人間がいる訳が無い

走り続ける。まだインコか何かの方が説明がつくだろ!


「ちょっとまて!逃げるのはいいが武智を置いていけ!それは俺のクラスメイトだ!」


クラスメイトという単語が響く。

本当に?人間?

走る足に力が入らなくなる

鼓動が激しい中、僕はソレが交流可能な存在であることに命を二枚賭けた

返答は……


「やっと止まったか……怖がらせたか、悪かったな。俺はこうき。鋼の己で鋼己だ。柔道部の副部長をやらせてもらってる。話をしよう」


「化け物より化け物やってるよ、アンタ」


結論は早く出た。賭けですら無くある意味平和だった。

安堵が心を満たす。人だったのか……アレが?


「ハッ…良く言われるよ……」


side健人&駿人


あの後、無事に洞窟からは脱出できた。

洞窟内では白いお札を手に入れた。

洞窟からは、錆びた鍵で脱出した。

錆びていても使えてよかった。


「ここまで順調だと何かのゲームみたいだな……」


「それなら夢オチで終わるから良いけどね」








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青い惨劇。 √396 @zaguro

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