第2話

気づいたら洞窟にいました


船が転覆したのでしょう。


気を失ったのかその後の記憶はありませんでした


「………」


「……………」


「………ここは……?」


「………」


「洞窟……?」


「運良く漂流したようですね。」


(助けを呼ぶためにも、ここから外に出なければ。)


私は洞窟に入って行く。


「人工物のようですね。」


「自然にこうはなりません。」


洞窟のようなところに、岩に穴を開けたような穴があった


「たす……れ……」


声が聞こえる。誰かいるのだろうか


「誰かいますかーーー?」


返事は無い。


「進むしかありませんね。」


進むと、トの字の通路に繋がった。

右の方にいくと、扉があったが、

鍵がかかっており、開けられなかった。

もう片方が進めることを祈りながら奥に進むとまた扉があった

今度は空いていた。少しの安堵が体を巡る。


中に入るとある程度の空間に出た。


「坑道でしょうか?」


レールが敷いてある。

レールに沿って焼却炉もある。


「誰かいないかー?」


またさっきの声だ。

生存者かもしれない!


「誰がいるのですかーー!?」


声が反響する。


「その声、あの時のマフラーの!」


「早く助けてくれ!このままだと落ちる!」


声の主はレールを辿っていくと見つかった。


「頼む、引っ張ってくれ!」


レールと道は途切れており、

そこは見えない。先程の緑コートは切れたレールに両手でしがみついていた。


「待ってください、今、引っ張り上げます。」










「助かった……ありがとう」


「いえいえ、こうゆう時こそ助け合いですから。」


彼の身長は大体180センチほど。

緑がかった黒髪に

緑コート。高校生だろうか?


「さっきの話にかけて話す気力があるなら大丈夫だ、それより……………見たか?」


「何をです?」


少し顔を青くしながら緑コートが言


「船と……あのバケモノを……」


「バケモノ?」


そういえばこの空間に入った瞬間に青い影が見えた気がする。


「青色ですか?もしそれなら今さっき見ましたよ。」


「そいつだ。そいつを見かけたら逃げろ。」


「何故です?」


「そいつは………食ってたんだ。」


「何を?」


「人の…腕を……」


絶句する。


「馬……馬鹿馬鹿しい、…そんな存在、居るわけないじゃ無いですか……」


「……俺の見間違いならいいんだがな。」


「だいたい、ここはなんなんですか?」


知っている訳がない。彼は先程船に乗っていたのだから。


「島っぽいな。無人かどうかは知らん」


帰ってきたのは予想通りの返答だった。


「誰か人が住んでるかもしれません。まずは洞窟の外に行きましょう」


「誰かがいるといいな。生存者二人だと流石に洒落にならん。」


「わかりました。………それで………どうしましょう、その化け物とやらがいた場合は。」


「逃げる。それしか無い」


即答だった。


「一応気をつけて行きましょう。」


「そういや落ちかけてた理由を言ってなかったな。

レールの端に鍵があったんだ、おそらくもう片方の扉のやつだろう」


「早速行きましょう」


「これで違ったら笑いもの……いや笑えんな」


(独り言が多いのだろうか)


来た道を引き返す。

トの字の通路まで戻ったところで海岸に何か青いものが見えた。本能と知能が騒ぎ出す

あれは何だと


「…あれですか?」


少しの興味と恐怖が口を開かせた。

返答は


「………………間違いない…奴だ。」


「本当に人を食べていたのですか?」


「……不気味なレベルでお前は本当に冷静だな。」


「質問に答えてください」


「腕だった。服らしい布も付いていた。」


「そんな…いえ、まだ決めつけるのは早急です」


「……いいから気づかれない内に逃げるぞ…」


そんな彼の静止を聞かずに私は青い物体に近づいていた。そんな私のことを見ながら俺は先に行くぞ…と言い緑コートは道を曲がった。


「何故青いのでしょうか。

 島に隔離されていた影響ですか…?

 とても興味があります。」


「あら?ここの鍵じゃねぇのかよ……ふざけ…。

仕方ねぇ、ぶっ壊すか……木がいい感じに腐ってるしな」

緑コートの独り言を聞きながら私は一歩一歩ソレに近づいていた。


「なにか探っているようですね。

 魚でも取っているのでしょう……!?」


ベギッ!という大きな音が2つ。

一つはおそらく先程の緑コートが扉を破壊した音だろうか、

………もう一つはソレが持ってたナニカが折れるもの……


布を纏っていた。そう、前に覚えてろよと叫んだ生徒が来ていた服に不気味なレベルで似た布を。


(!?)


その青い奴が振り向いた。

その口は体色に似合わない真っ赤なナニかと

その手には……


「まさか……」


その手に持っていたのは元型をとどめていない布の塊があった。


「逃げろ!」


そんな声が聞こえてくるのと化け物がこちらに向かって足を踏み出したのはほぼ同時だった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る