第10話 新たな日常
陸上と教室に入り、スマホを取りに席に向かう。
(スマホはどこだ?)
正直朝から忙しくてまともにスマホのことなど忘れていて鞄のどこに入れてきたか分からない。こういうとき少しだけ焦る気持ちは理解してくれるだろうか?
鞄の中を漁ってみる。どうやら鞄の外側のポッケに入れていたらしい。
陸上は、俺がスマホを取り出すのをみて、交換の画面にして来てくれた。
「悪い、少し待たせたな。早速交換しようぜ。」
そして、バーコードを読み取り追加をしようとする。
「何だよ心哉。もっと面白い名前にしろよ。」
「いや、普通名前にするだろ。」
俺のラインの名前は、普通に木原と書いてあるだけだ。それに比べ陸上は、くがちゃんとなっている。
「だから、変えた方がいいって言っただろ?」
こちらに向けられた声の方に顔を向ける。
「ごめんな、会話に割り込んで。俺は、こいつの友達の
どうやら、陸上の友達らしい。 黒のフレームの眼鏡をしていて髪は男子にしてはやや長めで、その容姿からはどうしてもガリ勉を連想させてしまう。
だが、よく見れば顔立ちなどは整っているので女子からは人気が出るに違いないと確信した。(体育の時とか眼鏡外したら女子に囲まれそうだな。)
「俺は、木原心哉。時雨、よろしく。」
やはり、初対面の人間にはどうしても愛想のない挨拶になってしまう。
「で、俺のつけたあだ名にまた文句かよミッチー。」
「ミッチーはやめてくれってずっと言ってるだろ。それより、そのネーミングセンスどうにかしてくれ。」
拒むような感じで言っているが表情からは、それほど嫌がっていないのが見てとれる。いつもこんな絡みをしているのだろう。
「ん? 親しみやすくていいと思わないか?」
「はぁ、気をつけろよ。よく思わないやつもいるから。」
「それは分かってるって。」
言いたいことをいえたからか、用は済んだからと席に戻ろうとした時雨を引き止めた。
「なぁ、心哉。今日の放課後予定あるか?」
「別に帰るだけだから特に用はないけど。」
「よし、ミッチー放課後何もないよな。ちょいと心哉と三人で遊びに行こうぜ。」
「おい、俺の放課後の予定を勝手に決めるな。暇だったからちょうどよかったが。」
「ということで、親交を深めて行こうじゃないか諸君。」
話した初日に遊びに行く予定が決まってしまった。嬉しい反面、少し不安でもあった。
その後、先生が来たことにより一時解散となった。
時間はあっという間に過ぎ放課後になった。 帰る準備をそれぞれし始める。配られたプリントや教材を鞄に入れている。俺はファイルを持ってくるのを完全に忘れていたため、このプリントたちが家に着くまで無事だとは限らない、せめて破れたりしてなければいいなと願いながら鞄にしまう。ま、祈ったところで結局くしゃくしゃになる運命だろうけど。そんなことを考えていたら、名前を呼ばれた気がした。
「ねね、心哉。聞こえてる?おーーい。」
紗姫が俺の顔の前で軽く手を振りながら、反応があるか確かめていた。
なんとも可愛らしいではないか。いつまでも反応をしないのもあれなので反応する。
「ん?どうした?」
「やっと反応した!呼んでるのに反応ないからびっくりしちゃったよ。」
「ごめん考え事してた。それで、どうした? 」
「ライン交換したいなって、交換してくれる? 」
「別にいいよ。交換するの拒否してる訳でもないし。ちょっと待って交換画面にするから。」
高校に来てから、初めて女子とのラインの交換に気持ちが高まっていた。
そして、無事に交換し終えてお互い帰り支度を済ませる。
「それじゃ、また明日。交換してくれてありがとね! 」
「うん、また明日。」
まだ、帰りの準備をしないで雑談を時雨としている陸上の席に向かう。
「お、心哉。もう行けるのか? 」
「行けるよ。で、今日どこに行くの? 」
あれから、話していなかったので全く行き先を知らなかったのだ。
「ミッチーどこ行く? 」
「おい、夏希そこは決めてるのかと思ってたぞ」
まさかの決めていなかったらしい。
「ま、いつも通りでいいんじゃない? 木原がよければだけど。」
ここなら何でもあるし、遊びに困らないし楽しめるからと言う理由らしい。
「来たのはいいがどうする?責任者の夏希君。」
「うーん、三人で楽しめるものか…。心哉は何かしたいことあるか?」
「ここに入るときに気になったものならあるけど、一つの案としてボーリングなんてどうかな? 」
「「いいね。」」
二人とも賛成のようでほっとした。案などと言ったのは、自信のなさから来ている。
「じゃ、急ごうぜ。この時間は学生でいっぱいになるから。」
そう言うと、陸上は走って言ってしまった。
「名前は俺に任せとけ」と言い残して…。
「はぁ、すまんな木原。あいつ昔からあーなんだよ。」
「そうなんだ。多分陸上のいいとこだよね。」
「あれをいいとこといえる木原は凄いよ。昔から振り回されてばっかでさ、遊びに誘ってくれるのはいいけど限度を超えてるから…。」
ゲームだとか試合形式のものは、心が燃えるらしく本気で何時間集中してやるから、体力がもたないらしい。その後、笑顔で「ま、楽しいんだけどね。」と言っていた。
「というか、名前大丈夫かな。」
どうも早蕨です。やっと十話にたどり着きました。話ではまだ4日くらいしか経ってないので早く夏休みに行きたいなと6月くらいからずっと思ってます...。
更新はしていく予定ですが、一話から今まで読みにくい文章があるかもと感じたため手直しをメインに進めていこうと思います。新たに文章を追加する可能性があるため読み直してみるのも面白いかなと思いますので、ぜひ更新したときに読んでいただけると嬉しいです。
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