第二章 作戦
第5話 最悪な目覚め
「おい! 起きろよ心哉!」
そんな声が聞こえたような気がした。気のせいだと判断し、もう一度眠りにつこうと布団に潜り込む。
「起きろって、言ってんだろ!」
力強く布団が体から離された。まだ四月なので、布団の温もりが消えると少しだが寒く感じる。寒気からか意識がはっきりとするのに、それほど時間はかからなかった。
「ん? おまっ、なんで俺の部屋にいるんだよ‼」
俺の布団を奪った人物は驚くことに、今日約束をしていた仁己だった。もしかして、俺寝すぎたか? と焦りはじめ、罪悪感がわき始めたとき、仁己から信じられないことを言われた。
「いや~、俺の家からゲーセン行くより心哉の家に直接行った方が近いし、早く起きすぎたから来ちゃった。」
まぁ、そうだな確かに仁己の家から俺の家は近いが、ここを聞き逃す俺じゃない。
「おい、仁己。今は何時だ?」
「えーと、確か十時くらいかと。」
仁己は、あまり時計に頼る生活をしていないのは前から知っていたので、すぐにベットの端にある目覚まし時計を見る。ちなみに、仁己との集合時間は十時くらいにしていた。
「本当に十時だったら、俺が悪いから謝るが仁己お前が謝る必要があるようだ。」
いらだちとあきれ半分で今の時刻を告げる。
「なぁ、今九時前だけど言い訳はあるか?」
「まじかよ…。だから心哉のお母さん朝飯食ってたのか。」
仁己は前からこんな感じなので、あまり怒る気にはなれない。
「てか、よく母さんも家に入れてくれたな。」
「あー、それなんだが俺って早く行動しちゃうから昨日の夜に心哉のお母さんに連絡しといたんだ。」
なんでそこまで気が回って、朝時間を確認してこなかったんだ…。それができれば完璧だったのに。
「ん?仁己、お前いつ母さんとラインなんか交換したんだ?」
危ない危ない、重要なとこを聞き逃すとこだった。
「中学の時の夏祭りでたまたま、会ったときにノリで交換した。」
まじかよ…。その時、中学の時から抱いていた頭の中の
「妙に、母さんが遊んだ内容とか俺の秘密知ってたのもお前の仕業か!」
「あ、やべ。ばれちった。」
「はぁ、これからは何話してるか見せてもらうからな。これ以上母さんへ秘密がばれるとやばい。」
例えば、思春期の男子が隠しているものや遊ぶお金を多めにもらい小説を買っていたことがばれたら死ぬ。ばれてなければいいが...
「なぁ、心哉。そろそろゲーセン行こうぜ。」
時計を見ると昨日約束した時間に近かった。
早めにきていたとはいえ、待たせている形になっているので急いで着替えて、顔を洗い歯を磨き、仁己と一緒に家を出た。
ゲーセンに着くまで昨日の地獄だった入学式の話を仁己にした。
「心哉って、そんなにコミュ力なかったっけ? 中学の時はそうは見えなかったけどな。普通に女子とも話してたし。」
「いや、すぐに仲良くなったわけじゃないよ。時間かけなきゃ話せないし。」
「そっか。まぁ、心哉は意外とコミュ力あるからそんな心配すんなって。んじゃ、今日は、昨日辛かった分とことん楽しもうぜ!」
仁己は笑顔でそういった。くそ、朝のあれがなければ純粋にめっちゃいい奴に感じられたのに。
俺たちはとりあえず何も考えず広いゲーセンの中をぶらつくことにした。
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