第4話 夕飯
「心哉―――‼ご飯できたわよー」
母さんの大きな声で目が覚める。
「うーん…。今行くよ。」
意識がまだはっきりとしない中、頑張って声を出して返事をした。
母さんはこういう時、俺の部屋には絶対と言い切れるほどに来ない。なので、大きめな声を出さないといけないというわけだ。
「今、何時なんだ?」
時計を見ると七時近かった。まさか、がっつり五時間くらい寝てしまうとは、マジで疲れてたんだろうな…
階段を下りていると、すごくいい匂いがしてきた。この匂いはもしかして‼ 俺の鼻が正しければ今日のご飯は大好きなあれかもしれない。そう思うと早く階段を駆け下り、すぐにダイニングのテーブルに向かう。
「今日のご飯って、もしかして青椒肉絲?」
「そうよ。心哉がなれない環境で疲れたみたいだし、来週から頑張れるようにって作ったのよ。」
「母さん、ありがとう!やっぱ母さんの料理が一番だよ!」
「もう、そんなこと言っても何もでないわよ。お父さんもそろそろ帰ってくるらしいから食器の準備してくれる?」
「了解!迅速に準備します!」
ここで訂正をしておこう。俺は決してマザコンなどではない。ただ母さんの料理が好きなだけだ。
悩んでたことなんか全部忘れて、テンションが上がっていた。早く父さん帰ってこないかな~。
食器の準備が終わると、玄関が開く音がした。
「父さん、お帰り!早くご飯食べよ!」
小走りで玄関に向かっていき、父さんに言った。
「心哉が出迎えなんて珍しいな。」
「早くご飯食べたくてさ。荷物いつものとこに置いておくよ。」
「ありがとう。とりあえず父さん手を洗ってくるから、心哉はご飯よそって待っててくれるか?」
「分かったよ!準備しておくね!」
こういう時の俺は比較的素直だ。カバンを父さんの部屋に置きにいき、すぐにご飯を茶碗によそい、用意が終わるとちょうど父さんが洗面台から帰ってきた。
「珍しく出迎えに来たと思ったら、中華料理だったからか。母さんの料理が冷める前に食べようか。」
家族全員で席に着き、いただきますといい食べ始めた。
「やっぱ、母さんの料理はうまいな。」
「やだ、お父さん。食材切って、素を入れて炒めただけよ。」
「それでも、おいしいよ。毎日母さんの料理が楽しみで早く帰ってきているんだ。」
息子の前でいちゃつくなとは思うけど、ここまで仲のよい夫婦はそういないと思うから暖かく見守ることにしている。だが、今はいちゃついていることなどどうでもいい。母さんは確かに料理は得意な方ではないが、しっかりと味が染みていて食感が残るように炒められているから、とてつもなくご飯が進むのだ。
そして、汁物として今日は中華の素で作られた卵とにらのスープ、メインではないがこれが異常にうまい。
結局おいしくてスープとごはんを二杯ずつおかわりした。
「「「ごちそうさまでした。」」」
食べ終わった後に食器を台所におき、食器を洗いおわると。母さんが食後にお茶をだしてくれて、ゆったりと中華の余韻に浸った。
特に今日はいちゃついてくれたおかげで、学校のことは聞かれなかった。明日とか聞かれそうだな…
明日からどう回避しようか?ま、今考えても無駄だな。
ゆったりしていると、明日のことをふいに思いだした。
「母さん、明日
言っとかないと無駄に食材を使わせてしまうことになるので、毎回何か食べるときはいうようにしている。
「分かったわ。ヨシちゃんによろしく伝えといてくれる?」
「了解。じゃ、今日はもう風呂に入ってねるよ。」
そのあと、風呂でゆっくりし父さんと母さんにおやすみと言って、布団に入り眠りについた。
あんなに寝たにもかかわらず、ぐっすり眠れた。
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