四、異世界転生? ~Reenkarniĝinta en alia mondo? ~
――え? なんで?
歩きだして気が付いた。
軽い! 体がめちゃ軽い! まるで足が地面についていないかのように滑るように歩けるし、体全体が地面から少し上に浮いているんじゃないかって思うくらい。
でも、ちゃんと足で歩いている。
ふわふわと浮くように歩きながら、私はあらためて空を見た。
空は全体がものすごく明るく光ってるんだけど、青じゃない。なんか瑠璃色って感じで、雲一つない。
でも、太陽は空の上じゃなくって正面の胸の高さくらい。
それがまた不思議なことに、どっちの方角を向いても太陽は顔の正面にある。
そして目にする何もかもが鮮明に、はっきりと見える。
なんかこれまでの生活よりも、画像解析度が一段と上がっているって感じ。
今までの暮らしが360
私の目がよくなったのかなあ? いや、違う。そんな問題じゃあない。
すべてのものが生き生きと、生命を感じる。
――ここ、どこ?……
あらためてそう思う。それは絵梨香に聞くというより、私はほとんど独り言のようにつぶやいてた。
この不思議な状況で考えられることは……
「異世界といえばある意味異世界だけど」
「ええっ?」
私は驚いて、絵梨香の顔を見た。
たしかに私、もしかしたらここは異世界で、私は異世界転生した、あるいは召喚されたんじゃないかって思ったけど……でも、口に出しては言っていない。
なんで絵梨香は私が考えただけのことをわかっちゃってるの?
「優美が考えているような異世界じゃないよ。ドラゴンもいないし、エルフも獣人もいない。冒険者ギルドもなければダンジョンもない」
さすがに私、そこまで中二じゃない……と思う。でも心の奥底で、考えていたかも。
「だいじょうぶ。誰も優美を中二病なんかだとか思わないし」
え、待って。なんで私が考えているだけことが、口に出して言ってないのに絵梨香に筒抜けになってるの?
まあ、たしかに絵梨香は私がアニメオタクだったことは知っている。絵梨香くらいしか知らないはずだけど。
それにも、絵梨香の心の声も私の胸に響くし、
そんな絵梨香が、ふと私を見た。
「ねえ、優美」
「ん?」
「これからもずっと、いっしょに行こうね」
「うん」
私は、うなずいていた。
気づいたら私たち、すごく遠くまで来ていた。
でも、かかった時間は……わからない! もしかしたら、時間なんかかかっていない……かも。
たった二、三歩歩いただけで、はるか遠くに見えていた森のそばまで来てる。
「あの森の中に、町……ていうか村があるね」
私は森を指さして言った。でも、森の木々が見えるだけで、家の屋根なんか見えていない。でも心に強くそう感じて、思わず言ってしまっていた。
また数歩歩いて森の中に入った。
森の中は別に私の家のそばにあった、あるいは旅行で田舎に行ったときに行った森と全く同じ普通の森。ただ画質鮮明で、生き生きとみなぎる生命感を感じることが違うだけ。
すぐに私がイメージしていたのと全く同じ村があった。
やはりここは私の思う異世界ではない。
だって、私の知ってる異世界なら村の家はみんな中世ヨーロッパ風じゃなきゃだめだけど、ここの村の家は日本の田舎にある家と全く同じだもの。
ちょっとレトロな感じの昭和っぽい家が多いけど、私ん
そして何よりも風景はアニメではなくって、まぎれもない実写!
バーチャルじゃなくってリアル!
でも考えてみたら、異世界物のアニメだってアニメを見ている人にはアニメだけど、登場人物たちにとっては実写なんだよね。
そんなリアルの村を見てみると……人がいる。
みんな普通の人。普通の服着てる。普通に日本人。ただ、いるのはみんな若者。
森の中もそうだったけれど、この村の家も本当に現実味を帯びて鮮やかに見えた。
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