ダンボール

バブみ道日丿宮組

お題:箱の中の14歳 制限時間:15分

ダンボール

 ダンボールの中に生き物がいる。

 その蓋を開けたら死んでるのか、生きてるのか。

 それは両方の意味を持つ。

 もっともダンボールの中には一つの世界が広がってるから、どちらでも同じことだろう。

 そういう装置なのだ、これは。

「……」

 ダンボールをあけ、棒を入れゆらゆらと動かす。

 そうすると雲が動き、海が流れる。

 私は天候を操る神様。このダンボールの世界の偉い人。

「……文明は多いほうがいいよね」

 知能を持った生き物は人間だけでない。猫であったり、犬であったり、象であったり、キリンであったり。種族間の争いは起こるだろうが、それもまた運命であろう。

「……降りてみようかな」

 1万年の時を経過させると、見慣れた風景ができてた。

 大橋、ショッピングモール、駅、公園、マンション、コンビニ、警察署、コロシアムなどなど。

 服装も今着てるワンピースのようなものを人々は羽織ってる。

 一つちがうことがあるとすれば、人間に猫耳があったり、しっぽがついてたり、あまりにも大きかったりすることだ。いわゆる獣人が誕生してた。

 人間と交配して産まれたのか、進化したのかはわからない。

 なんにせよ、言葉は通じるようにしておこう。

 ダンボール横に設置されたアマオンのラベルに日本語を設定する。これで降りたとしても困ることはないだろう。

「……書き残しはあったほうがいいか」

 用事があれば、棒で私を救うだろう。

 行方不明とされても仕方ないことだし……

「よしっ」

 これでいいだろう。

 

 そうして中学生夏休みの大冒険が幕を開けるのであった。

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ダンボール バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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