第8話

「マーヤ、生きていたのか」

「生きていたのかとは、失礼ね。自分で閉じ込め置いて」

「わしは、『もう帰っていいよ』のつもりだったんだが・・・」

「私、素直でしょ?」


この人の性格つかめない。


「紗枝ちゃん、死んだんだって」

「ああ」

「いつ?」

「10年以上前だ」

「そう・・・じゃあ、天国で私は会えるね」

「行ってたらな」


ふたりで、盛り上がってる。


「直哉くんは、私の事は忘れてたんだね」

「いや、忘れてないよ」

「本当に?」

「ああ。孫に真矢とつけたからな」


ああ、妹の名付け親はじいちゃんだったな。


「でも、どうやって生きてたんだ?」

「私は、魔法使いよ。人間の常識で考えないで」

「つまり・・・」

「魔法使いの女の子のイメージ崩せないので、言わないでおく」


僕は、蚊帳の外。


「あっ、マーヤ、紹介する。孫の実だ」

「さっき、挨拶したよ。ね、実くん」

「ああ」


おじいちゃんは、手を打つ。


「マーヤ、願いはもうひとつ叶えられるな」

「うん。直哉くんと紗枝ちゃんのひとつずつだったけど、紗枝ちゃんはいないから・・・」


おじいちゃんは、僕の肩をたたく。


「紗枝の代わりにこいつの願いを、叶えてやってくれ」

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