第4話
「物の見事に、壊れたな」
僕は、天井の残骸を見て思う。
「これ、修理費いくらかかるかな」
不安がよぎる。
「じいちゃんや、親に怒らるな。バイトして稼ぐか・・・
でも、浪人生だし。今は学業を優先しないと・・・
高校時代にバイトして貯めたお金で足りるかな・・・」
「いい加減、私の心配しなさいよ」
落ちてきた女の子が怒鳴る。
「びっくりした」
「びっくりしたのは、こっちよ。」
「なんで屋根裏なんかにいたの?」
「あんたが、隠れてろって言ったんでしょ?直哉くん」
「直哉?」
僕は首をかしげる。
「こんなに私を待たせていいと思ってるの?おまけにケガさせて・・・」
彼女の言う事はわからない・・・
わからないが・・・
「あのう、お嬢さん?」
「私の名前は、マーヤ。忘れたとは言わさないわよ」
ようやく理解できた。
「マーヤさん」
「何?」
「あなたの言う直哉は、おそらく僕の祖父です。
僕は孫の実です」
マーヤさんは、きょとんとしている。
「あのう・・・実くんでしたっけ?」
「はい」
「今は昭和の何年ですか?」
いつの時代だ。
「昭和はとっくに終わりました。今は平成を経由して、令和の時代です」
「れい・・・わ?」
「もし昭和なら、95年かな・・・」
「昭和95年?」
マーヤさんは、項垂れた・・・
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