離れたくない

髭爆弾事件

第1話 離れたくない

霜が降り、息が白くなる頃。


スマホのアラームが鳴り、意識が徐々に起きてくる。

私は彼のぬくもりに抱かれ目が覚める。


このぬくもりが、あと数時間でなくなると思うと離れなれない。

決して離れたくない。


時間は刻々と過ぎていくとドアがノックされる。

迎えが来た。

私は彼を置いて行かなければならない。


この場に残る理由を考えるが、いい理由は思い浮かばない。


「さなえ~はやく起きないと学校に遅れるよ」オカンの声がする。

ドアが開き彼を引き剥がすオカン。


返してと腕を伸ばすがオカンにのけられる。

ぬくもりを敷布団に求めるも彼がいないとすぐに冷め、抵抗をあきらめる。


制服に着替え部屋を後にする時、横目で彼を見ると

掛け布団はオカンにがっちりホールドされている。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

離れたくない 髭爆弾事件 @hige_bakudan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ