第4話 スキルをためすレイク



 レイクは中庭でディークと剣を交えていた。


 剣と剣が激しくぶつかり火花が散る。


 レイクは五歳から剣術の稽古を始め八年、一度も休んだ事は無い。


 それと同じく八年、稽古後に毎朝中庭を手入れしている庭師の苦労と悲鳴をレイクは知らない……


 さておき、


 レイクは発生させたばかりの縮地を早速試す。


 ぶつかり合う剣をディークに弾かれ、離れたレイクは縮地を発動させる。


 高速で迫るレイクを何事もなく避けるディーク。


 避けられたレイクは止まる事が出来ず、勢いそのまま木に激突してしまった。


 「キャー!レイク様大丈夫ですかーー!」


 駆け寄るリーニャにレイクは手を上げ、大丈夫と示した。


 「痛てて、調整が難しいぞ!」


 「縮地はかなり有用なスキルですが慣れるまでは大変ですよ」


 そう言ったディークも縮地を発生させたばかりの時はそうだった。


 慣れるまで何度も木や岩にぶつかって怪我をしていた遠い昔を思い出して苦笑いを浮かべた。


 「ディークもそうだったんだね」


 「そうですよ、レイク様、慣れるにはひたすら縮地を使うしかありませんからね」


 「なるほど……」


 とレイクは少し考え立ち上がった。


 「ディーク、悪いけど稽古は終わりにして縮地の使い方を教えてくれ!」


 「分かりました」


 レイクはディークの指導の元、何度も縮地を発動させ感触を確かめる。


 「そうですレイク様、いい感じですよ」


 「ありがとうディーク、なんか掴めた気がするよ」


 レイクは段々と思い通りに縮地を使えるようになってきて気持ちが高まっていた。


 そしてもう一度縮地を発動させようとしたその時、リーニャが待ったをかけた。


 「レイク様ー!そろそろ終わりにして準備しなければ間に合いませんよ?」


 レイクの動きが止まる。


 (間に合わない?なんの事だろう……)


 レイクが思考を巡らせ考えに耽っているとディークが何かに気がついたように口を開いた。


 「そう言えばレイク様、殿下に呼ばれていたのではありませんか?」


 「そそうだ!ま、まずい!リーニャお風呂に行くよ!」


 「はい、レイク様」


 そうやり取りをしたレイクとリーニャはあっという間に城の中へ消えて行った。


 一人残されたディークは「やれやれ」とまたタメ息を吐いた。

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