第七話 『逃走』

 箱は再び倉庫を開けると消えていたので、なんとか無事に帰路に着くことができた。


 しかし、二回目、三回目と続く恐怖に、精神はずいぶん参っている。

 このまま何もなく家に帰りたいものだと思った矢先、箱は再び現れた。


 街灯がスポットライトのように照らし、暗闇の一際目立つ存在感。

 最初に見た時も道に落ちていたが、その時とは比にならないほどの恐怖と、逃げ出したいと言う気持ち。


 脳内に浮かんだのは─────『殺される』


 ガタガタと震える足を必死に動かして、箱から逃げた。

 ただの箱故にそこから追ってくることは無かったが、体に絡みついた恐怖が消えることも無い。

 家に着いたら即鍵を閉め、ドアについているU字チェーンを即座につける。


 意味がないかもしれないと思っていても、何かせずにはいられなかった。

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