第六話 『倉庫』

 幸いにも、その後学校で箱に会うことはなかった。


 あの時の恐怖を心の何処かに残しつつ、取り敢えず安心してバイト先のコンビニに行く。

 バイトの先輩に今日の話をすると、その箱は呪われていたんじゃないか? と言うものだから、やっぱりかと、粗末に捨ててしまった数ヶ月前の自分を恨みたくなった。

 この先もあの箱は度々現れるのだろうかと悶々と悩むが、答えなんて出てきはしない。

 呪いなんてモノなくなれば良いのに……なんて子供じみた愚痴が溢れそうになる程、教室で見た箱は恐ろしく、もう二度と見たく無いモノだ。


 考えてばかりでは仕事にならないと思い、箱のことを忘れて仕事に打ち込んでいると、本日三度目。


 箱が現れた。


 今回は倉庫、またしてもド真ん中に置かれていた。

 学校で見た時より禍々しさを感じなかったので、先輩や店長を呼んで聞いてみるも、こんな箱はつい先程までありはしなかったと言う。


 今までさほど気にはならなかった張り紙の『段ボールです。』と言う文字が、暗い倉庫と合間って、より不気味に見えた。

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