第五話 『赤く染まる』
本日二回目。
またあの箱だ。
置かれていた場所は、先ほどまで使っていた教室の、先ほどまで使っていた机の上。
忘れ物を取ろうと、誰もいない筈の教室へ戻った時に見つけた。
箱のすぐ横に忘れた筆箱があったので、取りに近寄ると、箱には相変わらず『段ボールです。』なんてふざけた張り紙。
違ったことと言えば、ガチガチに固められたガムテープの隙間や、段ボールから滲み出る、赤い液体が垂れていたこと。
最初はペンキか何かでもかけられたか? と思ったが、ふと鼻につく鉄の匂いに顔が青ざめる。
血だ。
図太い奴だと幾度となく言われ続けていたが、これは恐怖せずにいられない。
ゆっくり後退り、ある程度距離の取れたところで走り出し、教室から、箱から逃げる。
妙だ妙だとは思っていたが、『そういうもの』だなんて思いもしなかった。
自分の図太さ、鈍さ故の悲劇だ。
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