第四話 『久しぶり』
音が消えてまた一ヶ月ほど。
捨てた筈の箱が、道のド真ん中に現れた。
現れたと言っても、テレポートのようにいきなり現れたわけではなく、登校中、ただ歩いていると、全く同じ張り紙を付けた箱が道に落ちて─────いや、置かれていたのだ。
見間違いかとも思ったが、『段ボールです。』だなんて気味の悪い張り紙を貼った段ボールの箱など、そう何個もないだろう。
ともかく、住宅地の中で車の通りが少ないとは言え、流石に道のド真ん中にあっては邪魔だろうと、箱を道の端に移動させる。
部屋で見たものは確かにゴミ捨て場に捨てた。ならばこれは、偶然にも同じ箱を見つけてしまったという何かの縁だ。
なんて妙な責任を持った程度で、この時は「良いことをでもした気分だ」と、箱について変に思うことなどなかった。
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