第2話
こんにちは@miyakopekoです。
『女神です』
前回のラストでこのルートはクラス転移と判明してしまいました。
『クラス転移って?』
学校のクラス単位でクラスメイトと異世界転生してしまうパターンですね。
クラスの全員がチート持ちの勇者となって活躍する場合が多いです。
物語的には人間群像劇が期待できる面白いパターンですがRTA的には最悪です。
正直、ここでこの世界を見捨てようかと思いました。
『なんでよ!? 私の世界はどうなっちゃうのよ!』
クラスで転生した場合、たいてい主人公はクラスメイトにいじめられています。
異世界ではそれがチートスキルを使ったいじめにアップグレートしてしまうんですね。
『なにそれ異世界人ってこわい』
最悪のパターンだと冒険中に背中から魔法を撃たれて○害されたりします(13敗)
『もうそれいじめじゃなくて、ただの犯罪だと思うんですけど』
もちろん必ずクラスでいじめられているとは限りません。
ただしプレイ中盤までには必ず邪神サイドに寝返るクラスメイトがでてきます。
『もっと同じ世界の仲間を信じましょうよ……』
「みんな落ち着いて! だいじょうぶ、先生がみんなを絶対に守るから! とにかく静かに。落ち着いて」
「あ、あかり先生もいる……。ちょっと安心だよね。ね、雷忠?」
らいちゅ!?
いかにもな美少女が私のそでをくいくいひっぱりながら世界的有名キャラの進化した名前を言い出しましたが……。
なにいってだこの少女。
「雷忠? だいじょうぶ? 私も急にこんなことになって驚いているけど……わかるよね? 私よ、幼なじみの山田エリよ! しっかりして雷忠!」
どうやら私の名前が雷忠のようです。
今回のRTAは文字媒体なのでどう読むのか発音されないからギリギリセーフでしたね(アウト)
「あ、うん。だいじょうぶですよ、えっとエリさん」
「な、なによ雷忠……きゅ、急に小さいころみたいに下の名前で呼ぶなんて。まだ混乱してるの? ふふっ、でもなんだかうれしいな」
「チッ……雷忠のやつ……クラス一の美少女の山田さんになれなれしくしやがって」
「陰キャが幼なじみだからって調子のってるよな……」
はい、これで私こと雷忠くんのクラスの人間関係と立ち位置がはっきりわかりました。
クラスの美少女、山田エリとは幼なじみだけど、山田は陽キャ組で私は陰キャです。
クラスカースト上位の山田になにかとかまわれているので嫉妬されてますね。
この後は必ずクラスメイトの陰謀によって追放されます。
『陰謀……追放……異世界の学生って荒んでるんだね……』
それはさておきお待たせいたしました!
さっそくチートスキル確認作業に入りましょう。
「ステータスオープン……スキルチェック……メニュー画面……」
「ど、どうしたの雷忠? いきなり変なことをぶつぶつ言いだして?」
「ひゃっはっは! 雷忠のやつ異世界転生したからチートスキル持ってないかチェックしてやがるぜ」
「ステータスオープン!だってよ! ばっかじゃねえの!? お前みたいな陰キャはなんてスキルあってもゴミスキルのブロンズ冒険者に決まってるっつーの!」
「マジきもーい。エリもそんなのにかまうのやめなよー。ぜったい雷忠って奴隷の少女買おうとしてるし。奴隷解放宣言がだされた世界出身としてマジ恥ずかしいし」
「み、みんなが何を言ってるかよくわからないけど、雷忠を悪く言うのやめてよ!」
こいつら陽キャのくせにやけに詳しいな。
それはさておき、残念ながらゲームのようなステータス確認ができるウィンドウは実装されていない世界のようです。
チッ、使えねえな。
『私が手抜きして世界作ったみたいに言わないで』
異世界転生した時に王様らしき人や王女様らしき人を確認しましたので、今いるこの大広間はおそらくお城の中のどこかでしょう。
この後の流れとしては、この場でスキル確認したあとに能力に応じて扱いが決められます。
クラスごと異世界転移がRTAに向かない理由の一つとして主人公のスキルが一見するとハズレスキルの場合が多いことが挙げられます。
『神からの祝福をはずれとか言うかね普通』
ただしはずれ勇者と分かったとたんにお城から追放されて自由行動がとれる場合があるので、その展開だと強制イベントをスキップできるのですが……。
ゴミスキルが実は最強だとわかるまでにクラスや王様に奴隷扱いされたりするとちょっと気分が悪いですし、胸糞展開が長くなると数年ロスしたりするのでそうなると再走となります。
「異世界の勇者のみなさま、どうか落ち着いてお話をきいてくださいませ」
無駄なスキル確認作業をしているあいだにイベントが進行して王女様が話しだしましたね。
理想はスキルを確認して、瞬間移動があれば即座に脱出がよかったのですが。
「落ち着いてられないわよ!」
「ここはどこなの? お姫様みたいなかっこしてバカにしてるのっ?」
「ここは神々が作りしサティファドゥーン世界です。私はライトスルー王国の皇太女ラゼリンヌと申します。この度は勇者の皆様方にお願いの儀がありお呼びいたしました」
このセリフの間にも手から炎が出せないかとかテレポートできないか確認しています。
軽くジャンプしてみて重力が同じかどうかを確認することも重要です。
『急にピョンピョンしてるからあんたの幼なじみが怖がってるよ』
どうやら地球と同じ重力のようです。
残念。
「サティ……? なんだよそれ!」
「勝手に呼ぶなんて誘拐じゃない!」
「マヂありえんてぃーだし。営利目的等略取及び誘拐罪じゃん!」
「勝手は十分承知のうえです。もちろんご希望のかたは元の世界へとお帰しいたします。でもどうか一度、一度だけわたくしたちの話を聞いていただきたいのです」
キャッチの兄ちゃんが1分だけ10秒だけ話きいてってやり口と同じですね。
ちなみにここで世界に帰ると最速クリアと思うかもしれませんがそれは悪手です。
世界に帰すというのもウソでしょうから。
月と太陽の位置がそろうまで儀式ができないとか言って先延ばしにされるか、最悪こっそり裏で処刑されます。
『どんなサイコ王国なのさ』
姫様が野次をとばされながら長々と世界観を語っていますがどこかで聞いたような話なので要約します。
『おい、真剣に聞いてよ! 感情移入できないでしょ!?』
・モンスターが活発化している
・日食が起こった
・聖典によると日食は邪神が復活する兆候
・四聖将軍を名乗る謎の集団が各地で活動し民衆に支持されつつある
・宗派によって四聖将軍は善とされてるけど我が国の聖典によると邪悪
・なんかいい感じでモンスター退治とかして邪神についても調査してほしい
・これから神の洗礼的なことをすれば眠っている勇者の才能が目覚める
・嫌になったら帰っていいからお願いします
物語としてはもう過去の超大作に使われたパターンでつまらないかもしれませんがRTA向きですね。
異世界転生RTAではありがちなパターンが好まれる傾向にあります。
あまりにも独創的でオリジナルな展開だとアドリブで時間短縮するのは大変ですからね。
『私の作った世界って没個性的なの……?』
ところでお楽しみのチートスキルですがスイッチ型でしたね。
眠っている才能が儀式によって目覚めるとのことですが……。
内部的には儀式と同時にスキルガチャによって能力が付加されるのではないかという説が主流です。
『神聖な儀式をゲームの仕様みたいに言うな』
「ふざけないでくださいっ。あかりのかわいい生徒たちをモンスター討伐? 邪神封印? そんなこと教師として許可できませんっ」
「……でもこういうのってアニメとかみたいで新鮮」
「シホちゃん!?」
「だよな。な、あかりちゃん、いつでも帰っていいんだから、スキルを確認していけそうだったらこの世界の手伝いしてもいいんじゃねえか?」
「ユウキくんまで。先生はそんなこと許しませんよ!?」
関係ありませんが教師をちゃん付けで呼ぶのってどうなんでしょうか。
友達先生みたいなキャラ付けってアニメだと許せますけど、こうやって当事者にいると違和感がありますね。
「そのお言葉だけでありがたく存じます。ではご希望のかたはさっそくこの水晶に――」
「はいはいはいはい! 私がやります! お願いします私が最初でおねがいします!」
「雷忠くん!? いつも物静かで冷静なあなたまで先生の言うことを無視するんですか!?」
物静かで冷静って陰キャってことですよね?(マジギレ)
ここで一番最初にスキルチェックするのにはもちろん理由があります。
ストーリーはまだまだ序盤なのでまだリセマラ範囲内です。
『リセマラ!? 世界の危機をリセマラ!?』
いきなり最強チートなのか後から最強チートなのかはわかりませんが最速で確認するメリットは大きいです。
またゴミスキルだった場合の姫様や王様の反応を見ることで今後の展開も予測できます。
ゴミだった場合にバカにするような表情をしていればほぼ間違いなくブラック王国確定です。
『とにかく人を信じないスタイルなのね』
周囲の人間が呆気にとられているうちに私は姫様が持つ水晶に手をかざし
今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
【用語・ネタ解説】
・クラス転移
異世界転生のパターンのひとつ。学校のクラス単位で異世界に行くことをさす。類型として一人で転移、輪廻転生で赤子として転生、突如として異世界の人間に主人公の人格が上書きされる憑依などがある。
・雷忠
主人公の名前。読み方は不明。やや個性的な名前らしい。
・チートスキル
異世界転生用語の一つ。とにかく便利ですごいなんらかの能力をさす。ただし即座に物語が終わる能力はあまり採用されず、適度に快適で強い能力が好まれる傾向にある。
・ハズレスキル
チートスキルの反意後。しかし一方で一見すると役に立たないが実は極めて有効な使い道のあるスキルを指す場合も多い。基本的に誰も気づかなかった有効な使い道を思いつくには主人公である場合が多い。
・ステータスオープン、スキルチェック、メニュー画面
異世界転生用語の一つで特定のキーワードをつぶやくことでRPGゲームのようなステータス確認画面が脳裏に浮かぶ場合がある。イメージとしてはVRゲームに表示されるメニュー画面のようなものと思われる。
・リセマラ
リセットマラソンの略。ここではRTAに向いた好条件のストーリー展開がでてくるまでリセットを繰り返すことを指す。本来はくじびきによってキャラが得られるシステムが採用されたゲームにおいて、初めに無料配布されるゲーム内通貨でくじびきし有用なキャラが得られるまでインストールとアンインストールを繰り返す行為を指す。
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