【女神コメ付き】異世界転生【解説あり】

@miyakopeko

第1話

「聞こえますか……聞こえますか、異世界の勇者よ……?」


 こんにちわ。

 @miyakopekoです。

 今回は初めての異世界転生RTA投稿で緊張しますがよろしければお付き合いよろしくお願いします。


「あれ? 故障ですかね? 聞こえますか……聞こえますか、異世界の勇者よ……?」

「あっ、はい、聞こえます。勇者です」

「いや、あんた、いきなり自分のこと『勇者です』て。……まあ、いいでしょう。実はあなたにお願いが――」

「わかりました! すぐにその世界に連れて行ってください!」

「えぇ……? 話が早くて助かりますけどぉ……」


 さっそくですが今回は良いパターンを引けました。

 異世界転生する代表的なルートには、まずトラック襲撃パターンと、夢の中のお告げパターンがあります。

 トラック襲撃パターンだとまず地球での日常パートがあって大幅な時間ロスにつながりやすいんですね。

 世界記録を目指すとなると一番最初の神様からの呼びかけに即座に返事をするべきなんですが、なかなか夢のお告げルートがひけないので妥協しました。

 ゲームのRTAと違って異世界転生RTAではお決まりのパターンはあるものの、まったく同じストーリー展開というものはありませんのでアドリブ力がかなり求められます。


「異世界でなんでもしますから不老不死にしてください!」

「不老不死……人の子よ……無垢なそなたはわからないでしょうが――」


 おっと不老不死は無理そうですね。

 不死さえあればかなり無理してレベル上げができるんですが、それはダメという場合は多いです。

 創作で不老不死キャラは必ず後悔することになるんですが、RTAだと有用スキルになります。


「じゃあ不老不死に近いような頑強で老化が遅い身体にしてください」

「いま不老不死について大事な語りがあったんですけど。まあ勇者に死なれても困りますからそれくらいならいいですけど」


 実は不老不死は却下されること前提で聞いています。

 不老不死を断れた後に、不老不死に近いような強い肉体を要求すると通りやすいと先人の攻略チャートに書いてました。


「あと念じれば相手を即死させるスキルと時間を停めるスキル、それから相手の心を支配して思いのままに操れるスキルをください!」

「あんた私の世界をどうするつもりだ!?」


 おっとさすがに要求が多すぎて神に疑われてしまいましたね(微ロスタイム)

 こんなスキルがもらえたら即異世界転生RTAクリアと思われるかもしれませんが、それは大きなミステイクです。

 なぜかというと敵を即死させたり時間停止中にボコボコにできたり、魔王とかでも支配できるスキルがもらえるということは、そのチートスキルでも倒せない問題を抱えている世界に呼ばれるということになります。

 もしこういう超絶チートもくれるという流れになった場合はリセット推奨です(1敗)


「ところで神様、なぜ私は異世界に呼ばれるのですか?」

「それは語ると長くなりますね……。実は神々が生み出したサティファドゥーンの世界に――」

「なるほど、世界を作った神々のうちの一柱が世界を滅ぼそうとしているのでそれを阻止すればいいんですね!」

「……あんた、邪神のスパイじゃないでしょうね?」


 世界を作った神が一人ではなく複数の場合は、ほぼ間違いなく一人は邪神になって世界を滅ぼそうとします。

 そしておそらくですが善の神のうちに一人はスパイもいるでしょうね。

 あと、一応ですが神を数えるときは単位を『一人』ではなく『一柱』と呼んでおきましょう。

 細かいようですが言葉づかいを間違って怒らせてしまうとチートスキルがもらえなかったり減ったりします(10敗)

 同様にいくらチートスキルを持って最強になっても王様とか貴族と話す時は礼儀正しくしましょう。

 まちがっても王様に対して「おっさん」とか言ってはいけません(1敗)


「まさかスパイだなんて。とにかく最速で世界を平和にできるスキルをお願いします!」

「そういうスキルを任意で選べるならとっくの昔に私の世界は平和になっとるわ!」


 ところでこの神様、女神様でしょうか、けっこうノリがいいというかフランクですね。

 こういうタイプは冒険スタート後も交信できたりするので何かと便利です。

 異世界転生RTAでは情報が命ですからね。

 アクセスできる情報源は多いにこしたことはありません。


「あ! 大事なことを聞くの忘れてました!」

「ふぇ!? な、なによ? っていうかあんたさっきからいちいち声が大きいのよ。神相手にハキハキしすぎっていうか」

「スタートは異世界の子供に生まれるとかではないですよね? このままの状態で行けますか?」

「子供……? 意味わかんないけど、そのままよ。なんなのよ子供に生まれるって。うちの世界の子供たちになにする気よ? 発想が怖いわ」


 はい、これでこのルートで異世界転生RTAスタート決定です。

 正確には異世界転移じゃねえかという意見もあるかもしれませんが……。

 誤差だよ誤差(てきとう)


「ところでスタート地点って選べたり――」

「もういい、はよ来い。世界を救え」


 おっとここで視界が真っ白になりましたね。

 異世界への移動は色々なパターンがありますが、奇妙な違和感に襲われることが多いです。

 なんというかトランクに無理やり詰め込まれて東京湾に沈められるような……そんな感じです。

 あと、ごくまれに地球人を異世界に召喚する魔法やら儀式に失敗して死ぬ場合があります(6敗)

 ふざけんな!


 ところで女神さまからもらえたスキルですが、任意に与えられないと言っていましたね。

 これはよくあることで、いわゆるスキルガチャになります。

 なぜか異世界に転生した人間だと強力なスキルが手に入るというパターンが多いです。

 そうしないと異世界から勇者を呼ぶ必要なくなっちゃうからね、仕方ないね。

 しかしどんなスキルがもらえるか分からないからこそ異世界転生RTAは楽しいのではないでしょうか。

 スキルガチャは良い文明(断言)


「おおっ! 光が!」

「神が我々に勇者を遣わせて給うたのじゃ!」

「おぉ……神よ……感謝します!」


 東京湾に沈められるような感覚が終わるとそこはもう異世界です。

 みなさまお楽しみのスキルガチャの結果は次回となります。

 今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。





 ……ありがとうございました。







 なんで終わらないんですかね?

 今回の見どころはもう終わったと思うんですけど(正論)


「いってて、なんだここ?」

「あれ……私、変な夢を見てて……って、ユウキくん!? どうしてユウキくんが私の部屋にいるの!?」

「うわ、いきなりなぐりかかってくんなよリン! それに俺の部屋にいつのまにかいるのはお前だろ!?」

「な、なによ、言い訳する気、この変態!」

「待ちなよユウキ、リン。私たちだけじゃなくてクラスの子が全員いるよ……。それに知らない人も……」

「うお!? シホまでいる!? っていうかなんだあの王冠かぶってるおっさん!?」

「い、いくら神によって召喚された勇者殿とはいえ陛下に無礼な! ゆ、ゆるせぬ!」

「ほっほっほ……かまわぬ。今回の勇者殿たちは元気があってよろしい」

「そうですわ。勇者さまたちは突然のことに混乱されているのですわ。あなたこそ無礼ですわ、ティアラ騎士団長」


 えっ

 これってクラスごと転生ルートなんですか?(困惑)

『そうだよ』

 ん? 誰だこいつ。



【用語・ネタ解説】

・RTA

リアルタイムアタックのこと。できるだけ速くクリアを目指す遊び方であり主にゲームでのリアルタイムアタックが盛ん。近年はただ最速記録だけでなく、失敗をエンタメ化したような作品も多く見受けられる。ただしあくまで最速を目指すべきであり、ただネタを多く盛り込めばいいというものではないとされる。


・異世界転生

地球以外の主に『ホビッ○の冒険』のファンタジーな世界へ行き冒険するジャンルのこと。狭義の異世界転生は近年のジュブナイル小説を指すが、広義であれば『日帰りクエ○ト』や幻○入りシリーズのような二次創作も含める場合もある。また厳密には輪廻転生して異世界に赤子として生まれるものだけが異世界転生であり、本作のようなものは異世界転移として区別するという説も多い。


・微ロス

RTA用語で軽微なロスタイムの略。最速を目指すのであるからロスタイムがあれば再走(リセットしてやりなおし)が望ましいが、RTAには運がからむ要素が多く、幸運にめぐまれて好条件で進められている場合は微ロスとして先に進めることで好記録を狙う場合がある。


・○敗

RTA用語で特定の重大なインシデントから発生するロスタイムによって再走した回数。○には数字が入り、1敗とは1回そのインシデントによりリセットを余儀なくされたことを指す。


・スキル

近年の異世界転生で頻繁に使われる概念。身体が頑強であるとか特別な魔法が使えるなど多岐にわたるプレイヤー有利となる条件、技能。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る