初めての死亡回避

ピピピッ!!ピピピッ!!ピピピッ!!

AM5:00

僕は時計を見た。


もうだめだ…あいつを止められない。

正人は止められない。


愛華を殺させはしない。


今までもきっと僕を殺した後、愛華を殺していたに違いない…

やらせはしない…

殺されはしない…

殺されてやるものか…


殺されるくらいなら…正人を殺す…


AM7:00

いつものテレビの占いを見る。

12位。ラッキーアイテム カエルのぬいぐるみ。これはいらない。

違う番組の占いのラッキーアイテムは新聞紙…は薄いから雑誌を左わきに挟む。

右側は鞄でカバー。

よしこれで大丈夫だ。


AM7:30

「いってきます。」

いつものように家を出る。

ここからが勝負だ。

正人、絶対にお前を殺してやる。

このまままっすぐ学校へ向かおう。


AM8:00

もうすぐ学校だ。

いつもより校門が近い。生徒指導の先生も確認できる。この距離だったら間に合うはずだ。

愛華が手を振っている。これも予定どおり。

そして左から刺されるはず…


左を見た…正人がナイフを握りしめ走ってきた。


ドスン

左わき腹に刺さったナイフを見る。

本に阻まれて傷はつかなかった…


本に刺さったナイフを取り上げた僕は…

正人の胸にナイフを突き立てた。


「キャーーーーーーー!!」

誰かの叫び声が聞こえる。


地面に倒れた正人は、何かをつぶやいていた。

「こんなはずじゃない。こんなはずじゃない。僕は主人公なんだ。僕が正義なんだ。僕が守らないといけないんだ。僕が愛華を…僕が…。」

確か、正人は隠れオタクだったな…染めたのは僕なんだけど…

正人の意識がだんだん薄れる、最後は…目に涙を浮かべ…呼吸を止めた…


救急車とパトカーのサイレンが聞こえる。

僕は愛華を守れたんだ…

良かった…


僕の手は真っ赤に染まっていた…

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