第11話 あなたの隣

それから数ヶ月が過ぎ、私達は進級。


春4月。


高校3年生になった。


私達は同じクラスになる。





肩を並べて歩く日々


あなたが隣にいること


それが私の


一番の幸せ




そしてまた


新しい年がやってきた



今年もまた


あなたは私の隣にいる




ずーっと


ずーっと


永遠に………




グイッと私の肩を誰かが抱き寄せた。



「きゃあっ!」


「今年もまた宜しく!優月 音葉さん」




ドキーッ


振り向く視線の先には至近距離にある有の顔に驚き胸が大きく跳ね上がった。



かぁぁぁぁ〜っと、つま先から頭のてっぺんまで一気に熱くなったのが分かった。



「だ、大丈夫?音葉」

「だ、だ、大丈夫です…」



「………………」


「本当に?顔…赤いけど保健室行かなくて平気?熱あるんじゃねーの?」


「だ、大丈夫!ないからっ!」




スッとおデコに触れる有。



ドキッ


自分では分からない。


だけど有が気付く程、顔が余程赤いのだろう。



ポンと頭をする有。


ドキッ



「余り無理するな」

「いや、本当に大丈夫だから」

「はいはい」





〜 八吹 有 side 〜



彼女の顔が赤くなっていた事に


俺はすぐに気付いた。



俺の考えが間違いないのなら彼女は、


俺に対する想いがあるのだろう?



要約、彼女が恋する気になったのなら、


そういう姿を見ると可愛く見えてしまう。



中学の時、人気あった彼女なら、


俺も彼女にきっと恋をしていたのかもしれない。



もし、俺も彼女に対しての想いが動き始めた時、


俺は迷う事なくアピって自分への想いを試すように、


音葉に言葉や態度で仕掛けていく。



その反応を見て俺もマジに動き出す。



大好きな女を手に入れる為なら…俺は…




今までお互い色々あったから


付き合う事になったら


不安なんて絶対になくなっている



そう思えるくらい二人だと


絶対に乗り越えられそうな気がする






「ちょっとっ!クラス委員って…有っ!あんたが立候補したからって勝手に女子を私に推薦しないでよっ!」


「別に良くね?クラス委員なんて誰もしねーんだし!仲良くしようぜ!お・と・は」|


「やだ、やだ、やだ!絶対にヤダッ!」


「一人じゃないんだし!」


「有が一人二役しなよ!」


「お前、馬鹿?一人二役なんて出来るわけねーだろ!?」


「あんたなら出来るって」




私達は進級し、新学期早々、喧嘩をする。


クラスにも笑いが起こる。


結局、強制的にクラス委員をするハメになり、高校最後の年、波乱万丈だと言う事は目に見えていた。




そんなある日の学校帰りの事だった。



「ねえ、有、最近、告白された?」

「いや…そういやされてねーな」

「色気ないんじゃない?」

「そういうお前もな」


「そうだろうね」


「えっ!?認めた!」


「案外いつも一緒にいるから私達、付き合っているって思われてるのかも?」


「あー、そうかも。この際、マジで付き合っちゃう?」



ドキッ


胸が大きく跳ねた。



「えっ?」


「な〜んて言ってみる?」


「あのねー」



私達は騒ぐ。




「だけど…今はまだ…良いや」


「えっ?」





こうして


有と一緒にいられるだけで


私は良い


恋人同士になれば


もっと楽しいかもしれないけど…


今のこの時間が楽しくて


幸せだから




「なぁなぁ、ところで今年の七夕の願い事何にすんの?」

「えっ!?いきなり何!?」

「いや…」

「あれだけ馬鹿にしている有には関係ないでしょう?」

「今年は俺も願い事しようかな?」

「えっ!?いや…あんたの願い事は叶わないから」



グイッとヘッドロックされた。



「きゃあっ!」


「なあ、音葉」

「な、何?」

「そういうお前は去年の願い事は叶ったのか?」

「順番あるから、まだ、叶ってなくてさ」

「へぇ〜…順番ねぇ〜」




ドキーッ


至近距離にある有の顔に胸が大きく跳ねる。



かぁぁぁぁ〜っ!



「顔、赤っ!」

「う、うるさいなっ!顔近過ぎ…」




ドキン


おデコにキスをし、私を抱きしめた。



「ちょ、ちょっとっ!有っ!」


「これからも宜しくな!音葉。俺、お前と出逢えて良かったよ」


「な、何?急に」

「気にするな!」



有は帰り始める。



「あっ!ちょっと!待ってよ!」



グイッと私は有の手を掴む。



「わ、ごめんっ!」

「別に」




そう言うと、手を繋ぎ直してくれた。



私はドキドキと加速する胸を抑えながら



「ゆ、有…手…」

「別によくね?それとも嫌?」

「嫌じゃないよ。嫌じゃないけど有は良いの?」

「嫌だったら繋がねーし」

「…そっか…」



私達は友達として初めて手を繋いで帰った。






織姫様 彦星様


私はやっぱり有が好きです


意地悪だけど


優しい有が大好きです



だから……



八吹 有と恋人同士になりたいです…
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る