第5話 過去
〜 優月 音葉 side 〜
私の中学生の時に遡る。
ある日の放課後の事だった。
「なあ、優月ってさマジ可愛い系じゃん?でも裏で何してるか分かんなくね?」
「あー、分かる!」
「実は、男遊び激しかったりして」
「中学生で流石にそれはねぇだろ?」
「だけど、分かんねーじゃん!アイツ人気あるから」
「裏で何かしてるとか?」
「そっ!」
とある男子生徒の会話。
教室に入る前に遭遇した。
何を根拠に、そういう事を言われなきゃならないのだろう?と思った瞬間だった。
見た目での判断。
“美人だから“ とか “可愛いから“ とか真実を本人に確認しないまま勝手に想像され嘘の噂流されたりして…
そんなある日の事。
「優月、ちょっと良いか?」
大好きな人からの突然の呼び出し。
「なあ、俺と付き合ってくんない?」
ドキッ
まさかの突然の好きな人からの告白に胸が大きく跳ねた
「えっ…?」
「お前…可愛い系だし…友達にお前の事尋ねたら彼氏いないって…」
「…う…ん…」
「…じゃあ…本当に…」
「うん…」
「後…ちょっと…小耳にはさんで…確認すんの恥ずいんだけどさ…俺の事、好きなんじゃないかって…」
「………………」
「俺、本気(マジ)のマジ告だから。そこでなんだけど…俺、後ろ向いておくから、好きとか気があるなら俺の右手握って。もし駄目とか噂に過ぎないとかなら左手握ってくんねーかな?」
「うん…分かった…」
私は迷うことなく右手を握った。
「ヤッターっ!!」
彼はガッツポーズをした。
「マジっ!?じゃあ嘘じゃなかったんだ!うっそ!超マジ嬉しいんだけどっ!じゃあ…改めて宜しくな!」
「うん」
私も凄く嬉しくて仕方がなかった。
そして私達の付き合いが始まったんだけど……
それから1ヶ月が過ぎ、何もないまま付き合っていた。
でも……
「音葉…ちょっと…」
放課後、彼氏に呼び出された私。
「何?」
「なぁ…音葉って…可愛い系じゃん?でも…ちょっと…気になる事あるんだけど…」
「気になる事?」
ガシッと両腕を背後から掴まれた。
ビクッと体が強張る中、私は身動きが取れなくなる。
「ちょっと…何?」
抱きかかえられるようにされると私は押さえ付けられた。
「や、やだ!何!?離してっ!」
「沢山、男いるって噂耳にしたんだけど…」
「えっ…!?な、何言って…!違うっ!そんなのデマだよ…!」
「…他にも噂聞いて…」
「違うっ!私はそんな子じゃないっ!」
「悪い…信じたいけど…これ以上…付き合えないから別れてよ!それに俺、その噂聞いてから疑ってしまって…他に好きな子出来たから遊びで良いなら付き合ってあげても良いけど…そういう事はしたくないから」
そう言うと彼氏は私を残し数人の男子生徒に押さえ付けられたまま制服が脱がされる。
「や、やだっ!辞めてっ!離してっ!」
「どうせ色々な男とヤッてんだろう?」
「や…」
荒々しく脱がされる。
「いやあああっ!」
「黙れっ!」
打たれそうになる瞬間。
「こらーっ!何をしているっ!」
偶々、見回りに来ていた先生が来て私は免れた。
「っ…っく…」
私は次々と涙が溢れ止まらなかった。
それからしばらくは学校を休んだ。
周囲の目が怖くて
好きな人であり
はれての両想いになって
彼氏となった相手からの
まさかの嘘の噂のせいで
あの日の出来事は
男の子に対する
恐怖感や恋愛する事に
抵抗が出来てしまった……
みんながみんな
そうじゃないって
分かっているけど
あの噂が
何処でまた広まるのか
そう考えると
私は怖くて仕方がなくて
男の子に対する信用と
壁をつくってしまったと
言えるかもしれない…………
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