第4話 雨の下の指切り

「音葉っ!待てよっ!」



グイッと私の腕を掴み呼び止めた。



「…有は…分かってない…私の気持ちなんか…」


「あー、正直、全然分かんねーよ!でも…俺だって女なんて信じらんねー程の過去があんだよ!」



「………………」



「本彼いるのに3股されてたり、5股されてたり…体だけの関係だったり…利用されるばっかで…俺の想い知ってて全て遊びだったんだよ…!」




スッと掴まれた手をゆっくりと離す有。




「俺…好きになったら相手の事マジになり過ぎて周囲の事見えなくなって…自分の想いぶつけて、自分の女にしたくて…アピって告って…そうしたら全て遊びなんて…俺の想い利用されてばっかで…」




有の本心を聞いた気がした。


私よりも有が辛い思いをしていると思った瞬間だった。



私は振り返ると有の両頬に触れる。



「…有…私よりも辛い事…」

「…音葉…」


「…だから…相手からの告白も疑ってしまって…信じられないんだね…。…でも…友達からなら付き合ってみても良いんじゃないかな?ゆっくりなら…きっと…大丈夫だよ…。…一応、自分の過去話しても良いと思うよ…」


「…音葉…でも…」


「何かあったら私が傍にいてあげるから…」




スッと私の片手を掴み、有は自分の小指を絡めた。



ドキン



「じゃあ…約束」

「…有…」


「お前が寝てようと、お風呂に入ってようと俺、お前ん家来るからな!」





雨の降る空の下


指切りした男女


その指切りには


信頼という絆が


ある気がした





そして、有は彼女・宗上 梨砂(そうがみ りさ)。

高校1年生の女の子と、ゆっくり付き合う事にしたみたい。





そんなある日の事。



「俺とお付き合いして下さい」



他校生の男子生徒から突然の告白。




ドキッ

突然の出来事で胸が大きく跳ねた。



「えっ?」


「ゆっくりで良いんです」


「…ごめんなさい…ゆっくりも何も…男の子って…嫌いに近くて…だから…気持ちは嬉しいんですけどあなたと…お付き合い出来ません!ごめんなさい!」


「過去に…何かあったの?」


「えっ…?」


「余程の事あったんだろうなぁ〜と思って…」


「それは……」


「あ…ごめん…過去の事…聞こうとして…それじゃ」


「はい…本当にごめんなさい…」




男子生徒は私の前から去った。


私は離れて行く男子生徒の背中を見つめるしか出来なかった。





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