やみが迫ってくる

 『寝る』というのは、素晴らしい。疲れをとって体をリフレッシュする。人が生きていくには欠かせない。

 だけど、『寝る』こと自体が苦痛のこともある。布団に体を横たえると、背中が圧迫されて、自分の鼓動が体に響く。ドッドッドッ。聞こえるほどにだんだん、鼓動がうるさく感じて余計に目が冴える。怖くなって、体が冷えて、やみが体を侵食する。じっと何時間も恐怖に耐えて、疲れ切って、どこかへ落ちていく感覚でようやく意識が途切れる――。

 起きると体が汗でじっとり濡れて、不快な思いをする。仕方なくシャワーで体を流しながら、またやってくる夜に怯えて過ごすのだ。日はまた昇るというけれど、結局落ちるじゃないか。

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