第2話

 目が覚めた。いつの間にか眠っていたようだ。

 こんなところで…。

 でも、怖い思いを眠っている間だけしなくて済んだ。とはいえ、目が覚めてしまえば怖さが戻る。私が望んでこうしてもらったとはいえ。

 じっとしていると落ち着かない。静けさが身に沁みるからだ。

(早く来てくれないかなあ)

 彼を待ちわびる。横たわっているのが辛く、体を起こす。地面が固く、体が痛くてならない。起きるとき、手が背中に回っていてもがく。体がきしみ、痛みが増した。うめいた。

「うう」

 手が使えないって、本当に不便。括られてわかった。

 彼が縛った縄。どれ程の時間、眠っていたのか。縄は痛くない。きつい縛りだったような…。

 ドラマで見ると、痛いとか、辛いとか、顔がゆがむ、泣くなどしている。でも、体を締め付けているはずなのに縄は痛くない。食い込み感が感じられないのだ。 

 ひょっとして、彼、縛り慣れてる?

 だとして、誰を縛ったの?誰を括って上手くなったの?一人?二人?もっと?

 考えていると、苛立ってきた。堪らないほどに。

 私、嫉妬してる。

 どんな風に、他の女の人を縛ったのかしら…と、私は、頭を何度も振った。

 やめよう、気持ちがきつくなるだけだから。

 私は、牢屋の中に目を巡らした。改めて見てみると、よくも、こんなところに連れて行ってなんて自分で言えたものだ。闇、寂しい古びた裸電球、回りを囲む赤レンガは、所々が剥がれている。鉄格子は錆がついていた。

 古いものだろうか。いつからあるものかしら。と、ある思いが頭をよぎる。

(私の他にも入れられていたのかしら)

 ここに何のために入れられ、何をされたのかしら…。

 そうすると、想像が膨らんだ。

 粗相をした折檻のため?

 牢屋なんて、そんな理由でなければ入れられないはずだ。でも、彼が楽しむため、相手が望んでこうして閉じ込められたとしたら…扉に鍵までかけて、縄は、縛り慣れてる。

 想像は、興奮へと変化していった。 私は、体が熱くなるのを感じた。

 彼を待ちわびる気持ちで胸が一杯になっていた。


 



 


 


 



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