第49話 ナイショの話 その15
「飲まないのか?」
「……お前が変なことを言ったから、、飲みにくいんだよ」
「間接キスのことか?」
「……!? お前、わざとか? わざとだよな?」
「ハーレム、ハーレムと口では言ってる割に女子中学生みたいな初々しさだな。お前は」
「最近の女子中学生はもっとませてると思うが……?」
「そうかもな……」
いつものような軽口を叩きあっている。そんなはずなのに、、なんだこの言いようのない重圧は!!
そうだ! 考えてみればあの生徒会室に戻ってきた時から感じていた。この空気の重さはいったいなんなんだ!!
俺が何かやらかしたのか? いや、、特段思い当たることは……ありすぎるから考えるのは良そう……。
だが、1番直の怒りに触れることだ……それを考えろ。そうすれぼ自ずとこの爆弾の処理はーー。
「私には話せないのに、、あの二人には話せるんだな……」
冷や汗が垂れる。喉が異常に乾く。言葉を失い。直の方を直視できなくなる。
まずいまずいまずいまずいまずいぃぃぃ!!!
どうする? 井上薫!! 何をどう切り抜ければ良い? 下手なことは言えない。
「あっ、、あれは……」
「得意の厨二っぽい話をしていたのはわかる。だが、、そのノリにあの二人がノっている。これが不可解だ」
「だから……それわぁぁ……」
「それが真実……だと言いたいのか?」
はい。
「……また、だんまりか……」
はい。何を言われてもそれが真実なので……。
「薫……」
思わず目をつぶる。殴られる、、そう覚悟した。
「な、お……?」
直が俺に、抱きついている。表情は見えないように顔は伏せたままに。
「……」
仕方ない……よな。本当は、、使いたくなかったけど……。
目を閉じる。周りの空気の中に俺にしか見えない謎の言葉が羅列される。
世界を、、強制的に終わらせる。
そして、同時に創造する。
何も変わらない、、新たな世界を……。
「なっ!?」
いつも感じる感覚が何かに弾かれるようにうち消された。
「……半信半疑だったが……なるほど、、由梨の言っていたことは本当だったのか」
「!? 直、お前今! 何てーー」
「お前の世界を終わらせる力に対して、私が持つ世界を始める力、、なるほど、相反することによってそれぞれを打ち消し現状を維持する、、やはり、口で説明されるより実感した方が早かったな」
えっ!? お前……。今……。
「……能力が使えるのは、お前だけじゃない……。もう、、お前の1人遊びに私は付き合う気はないぞ」
じわりと汗が流れる。直が……。この時期の直が……。
【世界の秘密】を知っている!?
「……まぁ、、私もまだ全てわかったわけではない……。だが、覚えておけ。もう、手のひらで転がせるのはお前だけじゃない」
「直!! 違うんだ!! 聞いてくれ!! これにはーー」
直が俺にそっと抱きつく。
「わかってる。全部、私たちの、、私のためなんだろ?」
直が優しい声で俺に語りかける。
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