第45話 ルミナス ラスト

「ふぅ、、これで……終わりっ、と……」


 先程までの、騒々しさが嘘のように消えた生徒会室で俺はようやく仕事を終えて一つ伸びをする。


「お疲れ様、井上君」

「……静ちゃん、校内での酒類は禁止だよ」

「知ってるわよー。だって、あたし先生だし」


 そう言って、缶ビールを美味しそうに飲みながらいつのまにか黒板によりかかる静ちゃんがいた。


「言ってることとやってることがーー」

「ねぇ……井上君、一つ聞いていい?」

「……なんだい?」

「今のあなたはどこまで知ってるの?」


 静ちゃんの目が真剣なものに変わる。あの時もだがきっとあの缶ビールの中身は他のものと入れ替わっているいるんだろう……。


 例えば……そうだな……。


「今、静ちゃんが飲んでるその缶ビールの中身が跳躍した際の反動を抑える成分のあるもの? とか」

「……参ったわねぇ。あたしが、ただの教師じゃないことはバレてるってわけね」

「あぁ、、結果的には俺や直に協力してくれてることもな」

「……あーあ、もう少しゆっくりしたかったけどそうも言ってられないわね」


 静ちゃんが指パッチンをしようと、したその瞬間生徒会室の扉がガラガラと開く。


「また逃げるつもりか? ウィッチ?」


 静ちゃんが目だけで入ってきた花愛の方を見る。


「クロノスちゃんかぁ……。あなたにも一つ聞きたかったのよぉ」

「我に聞きたいこと?」

「そう、【箱】についてよ」

「箱、、だと? なんだそれは?」

「知らないフリ……ってわけじゃなさそうね。それじゃあ、クロノスちゃんじゃなかったのね……それなら余計にここにはもう用はなくなったわね」

「おっと! ウィッチ、、お前を逃すわけにはいかない!!」

「なーに? あたしは大したことは知らなーー」

「お前のその能力、、どうやって手に入れた?」

「……」

「俺も、、それについては聞きたかったんだ……静ちゃん、俺が知ってる限りだと静ちゃんがそんな能力を持っていた記憶はないんだが……」


 静ちゃんな観念したように、近くの椅子に座る。


「知ってるであろうことは割愛するわよ。単的に言うなら、私はあなたたちの知らない未来の……倉沢に頼まれてここに来ているの」

「!? 直に!!!」

「今のあなたなら知っている通り、未来の倉沢はとてもじゃないけどこんな風に自由に動き回ることはできない、、常に監視の目があり続ける状態で倉沢はあたし含めて3人の人間をこの時代に飛ばした」

「その内2人が鞠奈ちゃんと静ちゃん、、ってわけか……」

「おそらく、、ね」

「おそらく? ずいぶんとはっきりしない言い方だな」

「あたしたちはそれぞれに、他に送り込まれた人間を知らない。ただ、一目合えばわかるようになっている……」

「それは、、何故?」

「……井上君、、いいえ、、マスターのハーレムメンバーであることが前提だから」


 そう言って、静ちゃんが俺の方を見て小さく笑う。


「ハーレム、、メンバー……」

「そう、、マスターがこれまでとこれから先出会い自分のハーレムメンバーに任命したのは全部で12人、、そしてそれぞれに体のどこかに星座を模した紋章と能力を与えられている、、あたしはこれ、右手の甲にある水瓶座の紋章と記憶改竄……まぁ、絶対のものではないけどね」

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