第44話 ルミナス その13

「そうまで言われちゃ引き下がれないよな、、そう! 俺は井上薫!! このハーレムの王だ!!! ここにいるお前ら全員俺のハーレムメンバーだ!!!!!」


 俺は、堂々とそして誇らしげに高らかに宣言した。


「……まぁ、、私は違うがな」

「へっ?」

「あの、、晴美もよくわからないんですが、、ハーレムメンバーってなんですか?」

「はいはい、、夢は寝てから言いなさいよね」

「井上君、、今日は休んで早く寝た方が良いわ」

「あたしはそのハーレムなんとかでも良いーー」

「愛花、悪いことは言わないからやめておきなさい、、神である我を人の子らと同列するとは、、んっんん!! 死にたいらしいな……」


 あれ? なんか、、いつもと対応が違う!?


「ちょ、、ちょっと待ってくれよみんな!! 直、お前さっきと言ってることがーー」

「たしかに、私は現段階ではお前に好意を持っている、、が、うら若き乙女である私の気持ちは幼稚園児の大きくなったら結婚しよ! って言葉くらいの気持ちの大きさでしかない」

「信憑性ほぼゼロじゃねぇか!!!」

「アッ、、ハッハッハ!!!」

「愛花!?」


 突然笑い出した愛花に対して、花愛が少しだけ戸惑いの表情を浮かべる。


「君、面白すぎるよ〜。ん〜決めた! 倉沢先輩!! あたしも井上先輩が好きです!! あっ、現段階ではですけどね」

「おい! 愛花、お前まで!!」

「ちょ、、ちょっと待った!」


 俺たちの話に食い気味に、清美が口を挟む。


「あっ、、あのさぁ……ちょっと話が見えないんだけど……えっ? 何この状況?」


 清美の意見はもっともなものだった。だって、他の3人は俺に対しての気持ちを確認する間もなく直と愛花の間だけで話が進んでいるのだから。


「堀部先輩はどうなんですか?」

「あっ、、あたし!?」

「この井上先輩争奪戦に参加します?」

「いや、、だからそもそもーー」

「涼宮さんは?」

「はいっ!?」

「神楽坂先輩は?」

「えっ!!」


 愛花はそれぞれに問いをなげた後に、ゆっくりと花愛の方を向いた。


「花愛ちゃんは?」

「……」

「花愛?」

「はーっははは!! めちゃくちゃだがたしかに面白い、良いだろう。我もその薫争奪戦に参戦しようじゃないか!!!」


 あんなに笑っているクロノスを見るのは初めてかもしれない……。


「……」

「それで? みなさんはどうします?」


 愛花が屈託のない笑みを浮かべる。


「なんかよくわかんないけど、、とりあえずあたしもその争奪戦? ってやつ参加するわ! 商品には納得できないけど」

「晴美も、、参加します! 好きか嫌いかで言えば先輩のことは好きな方に入りますから!!」

「みんなが参加するなら、私も参加するわ。あっ、勘違いしないでね。井上君には一切興味ないけどね」

「星奈さん!! 最後の一言必要でしたか? 必要じゃないですよね!!」

「良かったな、薫。お前の今の立ち位置は、00の○○ナ様くらいにはなってるぞ!」

「影うっすぅぅぅぅぅ!!!」

「……○○ナ・○ス・○○ー○!!お前は、お前のやり方を変えろ…」

「いや、それお前が言うのかよ!!!」

「なんか楽しそうねー!! 私も混ぜてよー!!!」


 何時の間にか静ちゃんも混じっていつもの生徒会の騒がしさが戻っていた。


 その中には、ごく自然な形で愛花と花愛も加わっていた。


 直がこの状況狙っていたのだとすれば本当に大したものだ。


 でも、直はそういうやつじゃない……。


 純粋に楽しい環境を作り上げてしまうんだ。


 愛花と花愛にもこうやって、楽しい生徒会の雰囲気を好きになって欲しかったんだと思う。


 もう、なんの心配もない、、二人はもう立派な生徒会役員になれたのだ。


「薫!!」

「んっ?」

「ありがとにゃん!!」


 そこには満面の笑みを浮かべた愛花と照れ臭そうに笑う花愛の姿があった。

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