第42話 ルミナス その11
個人旅行ねぇ……。
「バカを言え! 個人旅行だと? こちらは君が学校長を恐喝同然の交渉で学園からーー」
「多田野君、酷いわぁ。私、そんなことしてないわよ」
「黙れ女狐! こちらはすでに証拠をつかんでいる! 見ろ、ここにちゃんとーー」
哀れ、、多々野君……。
「どれどれ? どこにもそんな証拠があるのかしら? あなたの秘密のエッチなフォルダしかないわよ」
「ばっ、、馬鹿をいえ! そんなデスクトップに残すほど、、あっ……」
紅音が多々野君をゴミを見るような冷たい目で見ていた。
仕方ない、、多々野君、、君も男だ。そういうのあって当然だとは思う……が、、そういうのはハードディスクに保存して家で保管するものだぞ。
「あら? 本当にあるのね。じゃあパスワードはきっと……」
「まっ、、待て!!」
「証拠、、見せてくれる?」
「くぅ、、かっ、神楽坂ぁ……」
男は、悔しさと怒りが入り混じった表情を星奈さんに向けた。
「はぁ、、そういうことみたいだけど。まだ、何かあるかしら? 風紀委員長さん?」
清美が哀れみを向けた瞳を多々野に一瞬向けるも、紅音の方へとため息混じりの声をかける。
「まぁ、、副委員長のことは後で考えるとしてーー
」
紅音は鞄をゴソゴソと漁り、何かを取り出した。
「倉沢生徒会長、あなたには私たち風紀委員会が手に入れたこんなものがあるの」
そういうと紅音は俺たちに見えるように、例の写真を机の上に置いた。
「えっ!?」
「こっ、これってーー」
「先輩と、、会長さん?」
その写真はさまざまな加工はされているものの、俺と直が◯◯◯したあの不思議な空間での写真だった。
けっきょく、この写真がいつ誰が撮ったのか、、いまだにわかっていない。
だが、、薄々感じている。これは、直接的に事象や今後に関わることがない、、所謂、あいつのお遊びなのだろう……。
「神聖な学業の場でこのような淫らな行為……風紀委員長として見過ごすわけには行きません」
写真を見た星奈さんが、気づかれないようにこっそりと俺の方へと近づき耳元で声をひそめて話しはじめた。
「ちょっと、、薫、なんでよりによって学校で? スリルを求めたいならちゃんと場所くらいならーー」
「星奈さん」
「何?」
「あの写真は、、偽物の写真なんです」
「やっぱりね、、まさか、合成までして生徒会を揺するなんて……」
本来は違うが、、そういうことにした方が話は早い。
それに紅音にとって、その写真が事実かどうかは問題じゃない、、問題なのはーー。
俺がじっと見つめる先、俺たちが映っている写真に映る、、今までにはなかった黒いモヤのようなものの存在だ。
俺たちが黙っていると、いままで座って黙って聞いていた直が立ち上がり、紅音の前まで歩いていった。
「何でしょう?」
直は長月が置いた写真を取り上げ、懐から携帯を取り出しその裏側を風紀委員の二人に見せつけた。
「こっ、、これは!?」
多々野君は驚きの声を上げるが、等の紅音は実に落ち着いた表情で写真をただじっと見つめている。
「これはその写真と同じ日付、そして同じ時間のものだ。この日、薫は風邪で休んでいてな暇だった私は星奈と二人で近くのゲーセンでプリクラをとっていた」
「……続けてください」
「仮に、、プリクラの日付は誤魔化せるかも知れないが、、薫の欠席は誤魔化すことは出来ない。なんなら今、調べてみたらどうだ?」
「多田野さん……」
「くっ、、確かに、井上薫はこの日学校にきていない……がっ!!学校にきていなくても放課後なら!!」
「薫、、お前確か、その日は一日中ゲームをしていたよな?」
「えっ? あぁ、、多分」
本当、どうしてそんなこと覚えてるんだよ。
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