第39話 ルミナス その8
「直!? お前、、なんで?」
「……何故か、星奈たちはお前のことを忘れているみたいだが、、大丈夫だろう」
「なんで、記憶が!!!」
「……忘れるわけないだろう……」
直の表情が一瞬暗くなる。それは、演技ではなく本心からのもののような気がした。
もちろん、この短い間に俺の目を欺けるほどに直の演技力が急激に腕をあげた、、というなら話は別だが……。
いや、、直なら実際あり得る話ではある。だが、きっとあの表情は直の今の気持ちが素直に表に出たものだろう……。
何か、、すごく悪いことをしたような気持ちになる。
「いや、待て待て!!! 薫のやつがここに戻ってくるのはわかる! だが、何故我までここにーー」
「あた、、し?」
愛花は、鏡を見ているような不思議な顔でクロノスの方を見ていた。
たしかに、愛花からすれば突然自分と瓜二つの人間が現れたのだから目を引いてしまうのは仕方のないことだろう。
「由梨のやつ、、こんな大袈裟に動くのはーー」
「薫!!!」
直の一喝に思わず、背筋を伸ばす。
さっきとは違って、何かすごくご立腹のようだった。
「で? 私は、、確かに愛花は生徒会メンバーとして受け入れるつもりではあった……だが、、お前は誰だ? 何故、愛花と同じ姿をしている?」
「たしかに、、この軸の主に会うのは初めてか……さて、どういうべきか? なぁ? か・お・る」
クロノスが俺の右腕に抱きついてくる。その瞬間、生徒会全体の空気が重くなったような気がした。
えっ? あれ? なんか、直のやつめちゃくちゃ怒ってないか? 表情には出してないけど、、なんというか、、後ろからこうメラメラと紫っぽい炎が見えるような……って!?
その紫色の炎が見えそうな感じは、直だけでなく大きさは様々ではあるが皆に共通しているものだった。
晴美ちゃんと、こっちの愛花は小さいけど激しく、星奈さんは中ぐらいでも静かに、そして直と清美は大きく激しく燃えていた。
いやー、、みんな俺のこと記憶があるないに関わらず好意を持ってくれていてハーレムの主としては光栄だが、、いや……マズイ!! この状況は非常にマズイ!!
このままじゃ、愛花は遅かれ早かれ生徒会の一員として迎え入れてくれるが、、クロノスはみんなからのヘイトを集めてしまう。
俺は、絶対にハーレムメンバーには喧嘩とか食い違えはあれど最終的には仲良くあってほしいと思っている。
ならば!! 今、クロノスが敵意を持たれているこの状況は俺にとってあまりに良くないものだ。
「その薄汚い手を離せ、、この泥棒猫が」
「ふっふふ、、愛花は歓迎するが、元々一つの存在であった我に対しては散々な言いようだな?」
「えっ? あたしと一つだった?」
「シー おーれたちはーいつでーも 二人でひとつーだっーた じもーとじゃーー」
「「黙れ!!!」」
ハモられるぐらいに直とクロノスにとって俺の小粋なジョークはお気に召さなかったらしい、、
しかも空気を和ませようとしたのに、更に悪くなっているじゃない!?
だいたいなんで、クロノスはらしくもないーー
「「薫」」
今度は、直とクロノスの二人に怒られてしまった。
いや、、なんか良くハモってるし実は仲良いんじゃないのか? この二人。
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