第34話 ルミナス その3

      俺が望む未来の鍵……。


 直を、、あいつから取り戻してーー。


 いや、、直が自由に羽ばたけるならそれだけで良い。


 俺はそのために、、全てを捨てる覚悟をしてここにいる……。


 でも、、正直答えがわからなくなり始めていた……。


 そうか、、ようやく見えた気がしたーー。


        一筋の光がーー。


「ぼーっとしてるけど、だいじょーぶ? 薫君」

「えっ、、あっ、はい……」

「あのっ!!」


 爽子が今までで一番大きな声を上げた。


「あー! ごめんなさいね!! あなたも驚いちゃうわよね? いきなり、これから死んじゃう、、なーんて」


 そんな明るい声でする話題ではないかと思うが、、鞠奈ちゃんならまぁ、、仕方ないのかも知れないな。


「あの、、さっきの話本当なんですか? そのっ、、私が数日後には自殺してしまうってーー」

「えぇ、本当よ。あなたはその後小さな女の子、、菅野三來ちゃん、余命少ない青年過多乃光太郎さん、、そしてたくさんの人々との出会いの後草野愛花ちゃんに出会うの」

「鞠奈ちゃん!!」


 未来の話をあまり他人にペラペラと喋るのは良くないことだと由梨は言っていた。


 それが本当のことだとするなら今の鞠奈ちゃんの行いはーー。


「あーそんなに心配しなくて大丈夫よ。ねっ、すわちゃん、、いいえ、もうクロノスさんとお呼びした方が良いかしら?」


 爽子の目つきが変わり、いつものあの強いクロノスの目へと変わっていた。


「お前、、本当に何者だ?」

「うーん、、魔法使い? とかぁ?」

「ふざけるな、、我は真面目に聞いているのだぞ?」

「我? あっははーおもっしろいーそれってキャラ付け? ねぇ? キャラ付けなの?」

「……お前に話を聞くのは無駄なようだな……おいっ、井上薫」


 クロノスが鋭い視線を俺に向ける。


「よっ、、よぉ、爽ーー」

「その名前を気安く呼ぶな、、ハーレム王(笑)」

「おい! (笑)は余計だよ!!」

「御託は良い。ハーレム王、、お前はどこまで知っているんだ?」

「……少なくとも、お前の過去は全部だな……」

「そうか、、ならなんでわざわざこんなところにまで来たんだ?」

「俺は、、お前を救いに来たんだ」

「救う? 私をか? 愛花ではなくて?」

「あぁ、、愛花の方には直が、、かおりが付いている」

「なら、、私の正体も知っているんだな?」

「クロノス……時の女神の名を持つ、、人ならざる存在、、愛花の中に眠る形で存在していた……もっとも、会ったことがあるのは3年の夏の1日だけだったが……」


 あの日、、晴美ちゃんと和解した俺が空き教室で出会った愛花、、その時に俺は聞かされたんだ……俺の能力の秘密、、そして、、直を取り戻せるかも知れない方法をーー。


「3年、、だが、今のお前は2年……なるほど、、あの男の存在はお前にとって決してマイナスだけではなかった、、ということか……」

「あぁ、、そうだな。あいつはぶちのめしたい気持ちでいっぱいだが、、感謝もしている……」

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