第31話 Marshmallow Justice ラスト
「それは、、お前の肉体が既にないからか?」
俺の言葉に、クロノスは下を向いて俯いた。
「ならーー」
「それだけじゃないよ……」
「……」
顔を上げたクロノスの顔は涙で溢れていた。
「もう、、遅すぎるんだよ……井上薫、、君の気持ちは本当に嬉しいよ……でも、あたしはーー」
周りの空気がざわつき始め、周りの気温が一気に冷めていくような気がした。
「あたしは、、輪の外にいるから……」
輪の、、外?
「その顔を見るに、、そこまでは君でも知らないみたいだね……」
「……なるほどな……」
「井上薫?」
「そうか、、今まで何度やっても直を救えなかった理由はそこにあるのか……輪の外……これだけ繰り返しててもまだ知らない世界があるんだな……」
「……君は、、何ものなんだい? もしかして、こちら側に足を踏み入れてしまっているのかい?」
クロノスの顔が、険しくなる。
「……答えろ!!! かおる!!!」
空間がぐにゃりと歪む。
「!!!???」
「お前の言葉を借りるなら、、輪の中の時間が進んだようだ……」
「……そのようだね……」
「しばし、、休憩といこうぜ、、クロノス」
「……いいだろう」
「消えた、、か」
俺はさっまで直だったものを追いかけようとしたが、目の前で消えてしまった。
「……行くしかない、、よな……」
俺は半ば諦めて、校舎に向けて歩き出す。
校舎には坂を一つ下るだけで、簡単に辿り着くことができた。
「始まった、、か」
俺の周りに学生服を身にまとった人々が次々に現れてくる。
「あっ! おはよー!!」
「……」
「おっはよー! 今日、社会のテストだよ最悪ぅ……」
「えっ〜嘘!? マジ!! 聞いてないよ~」
「いつの時代も、、悩みは同じなんだな」
もう慣れたが、この女生徒たちは愛花の、、いやクロノスの記憶の中の光景だ……。
「と、、言うことは間も無くか……」
俺は、ゆっくりと辺りを見回す。
「うわぁ……また来たよ、、あいつ」
声のする方へ顔を向ければ、黒髪の長い髪の少女が下を向きながらこちらに向かって歩いてくる。
「なんで来るの、、あいつ……」
「本当、、むかつく……」
「……あれが、、当時のクロノスか……」
クロノスは当時、、いわゆるいじめられっこだった。
何度見ても、、実に気に食わないがーー。
「いたっ!」
「ちょっとぉ、あんた何してんの? うっけるー」
「笑ってないで助けなさいよー!!」
まっ、少し懲らしめる程度なら、、多少なら事象に関与する力は今の俺なら持ってーー。
「魔法使いさん?」
当時のクロノスが俺をまっすぐ見ている。当然、他の生徒たちは俺の姿は見えていないはず、、だからこそ他の生徒からすればおかしな人間に見えていることだろう……。
「魔法使い、、か……そんな夢のあるような存在じゃないが、、君の敵じゃないよ」
「味方、、ではないの?」
「味方かどうかは、、君の捉え方次第になるかな……」
「どうして助けてくれたの?」
「……少し、話をしようか……できれば、ここからは少し離れた場所で……」
「……うんっ、、わかった……」
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