第24話 Marshmallow Justice その5

「はぁ、、星奈の言う通りだ……どうして、私は薫に対してあんなに意地をはってしまうんだろうな……」


 私はトイレの鏡を見ながら、ハァとため息をついた。


 さっき薫に礼を言われて、すごく嬉しかったはずなのに、、


 なんで、あんな態度をとってしまうんだろう……。


「恋、、というやつなのかな……? よくわからないが、、まるで私が、私じゃないみたいだ……」


 私は苦笑いを一つ浮かべつつも、鏡に映る自分を見て気持ちを切り替えトイレを出た。


「んっ? なんだ? お前は?」


 トイレから出ると目の前に図体だけはやたらとでかい大男と、先ほど私たちが追い返したギャル集団中にいた女が待ち構えていた。


「なるほど、、さっきの仕返し、、というわけか……見た目だけじゃなく性格も最悪だな……」


 私が言い終わると同時ぐらいに、私の体は強い力によって壁に押し付けられていた。


「おい、、こいつどうする?」

「好きにしていい! とにかく! あたしに対して二度と生意気な口きけないようにしてさえくれれば」

「OK。んじゃ軽く遊ぶとするか……」


 男の手が私の頬に触れた瞬間、私はその男の手を払いのけた。


「……気安く私に触れるな」

「んだと! このアマ!!」


 男はもう片方の手を壁に叩きつけ、音での脅しをかける。


「へぇ、、いいねぇ……その目。こういう、気の強そうな女いたぶる方が楽しいんだよね」


 大男は、下品な笑いを浮かべつつ私を見ている。


「ふっ、、これがお前たちのやり方か……自分じゃ、かなわないとわかって。こんな、どうしようも無い男を使って私に復讐しようとは……本物の、、カスだな貴様は」

「うう、、うっさい!! うっさい!! そいつ、まじでやっちゃっていいから!! なんなら二度と外歩けなくしちゃってもいいから!!」


 女はよほど私の発言が気に触ったのか、後ろで猿のようにキィーキィーと騒いでいた。


「だとさ、、お前。相手にしたやつが悪かったって、自分の運のなさを恨みな」


 大男は尚も、下品な笑いを浮かべている。


「……ひとつ聞きたい、、お前、あの猿女のこれか?」


 私は大男に向けて、親指を突き出す。


「はぁ? ちっげぇよ。だれがあんなやつの男になるかよ」

「では、、何故……あの女のために動く?」

「別にあの女のためじゃねぇさ。ただ、、好き勝手にしていい女がいるって言われたから来ただけだ」

「なるほど……あの猿女も相当のクズだが、、貴様は更にその上を行くクズとはな!!」


 大男が、私の胸ぐらをつかむ。


「てめぇ!! 気の強いのもいい加減にしろよ!!!」

「私は、、貴様らクズとは違う……こんなクズどもに私の体は汚すことはできないさ……」


 大男は相当イラついたのか、私の服に手を入れようとするが、、私はその手を、ゆっくりと掴んだ。


「やめておけ、、それ以上のことをするならお前の命にも関わるぞ……」

「はぁ? 何言ってんだ? 今更、、強がったって何も怖くねぇんだよ!!」

「いいからやっちゃって!!」


 男もその言葉に乗るかのように、私の手を振り払い更に触れようとしたその瞬間。


 ドゴォーンという爆発音のようなすごい音と共に男は遠くに吹っ飛ばされ、私は薫の背中に隠されていた。

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