第23話 Marshmallow Justice その4

「……困っているようだな? 薫」


 ……まっ、、そろそろ来てくれると思っていた。


「えっ!?先輩方!!」


 図ったかのように、直、清美、星奈さんが特撮ヒーローのような立ち姿で現れた。


「なっ、、なんだ? てめぇら?」

「あたしの妹に良くも喧嘩売ってくれたわね」

「ひっ!? なっ、、なんだよこいつ!!」


  清美が、口元だけ笑った顔でファイティングポーズを取る。


「……弱いものいじめ、、なーんて、ずいぶんとダサイことしてるじゃない」

「んっ、だとぉ?」

「早く逃げたほうがいいわよ。時期にあなたたちの先生がここに到着するわ」

「はっ、、嘘言ってんじゃーー!!!」

「本当に、、嘘だと思う?」


 星奈さんが冷たい笑みを浮かべる。


「ひっ!?」

「ちょっとどうすんの!!」

「ち、、てめぇら、覚えてろよ」


 女生徒たちは俺たちに捨て台詞を吐き捨てると、その場から立ち去っていった。


「おねえちゃーん」

「よしよし、怖かったね。晴美」


 清美は抱きついてきた晴美ちゃんの頭を、優しく撫でていた。


「助かったよ、、直」

「嫌な予感がしたからな、、案の定だったな」


 直は、腕組みをしながら得意げに言い放つ。


「あのね、本当は井上君が出て行ってすぐ直が決着をつけてあなたの後をこっそりついて行っていたのよ」

「せ、、星奈!!」

「フフフ……」


 直が星奈さんに怒り、星奈さんはそれを見て優しく笑っていた。


「直、、お前……」

「……薫が、、心配だったんだ……」

「俺が、、心配?」

「そうだ! 薫が、、薫一人では、晴美ちゃんを守れるか心配だったからな!! だから付いて来たんだ」

「あぁ、、なるほどな。でも、助かったよ直、、ありがとう」


 俺は、素直に直に礼を伝える。


 こうやって、面と向かって言えることなんて滅多にないからな……。


 ……俺も、、直のことを言えないくらい、、素直になるのは苦手だから……。


「ふん、、私は晴美ちゃんが心配だったからであって、、お前に礼を言われる筋合いはーー」

「もうっ、直ったら、、なんでそういうところは素直になれないのかしら」

「……うっ、、うるさい!! ……星奈、、先に戻っていてくれ私は少しまだ用が残っている」

「はいはい」


 直は、星奈さんにそう言うと少し怒りながらずんずんとどこかに向かって歩いて行ってしまった。


「星奈さん……」

「ごめんなさい、、お願いできる? 井上君」

「任せて下さい。星奈さんはーー」

「わかってるわ。清美と晴美ちゃんはあたしがついているから」

「すいません。ありがとうございます」

「直のこと、、よろしくね。井上君」

「はいっ!」


 俺は、そう言って直の後を追った。

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