第22話 Marshmallow Justice その3
「あの、、先輩」
「んっ?」
「ありがとうございました」
ハンカチで手を拭きながら、晴美ちゃんはまだ少し頬を赤く染めながら俺に礼を言う。
「当然のことをしたまでさ。それより、前向いて歩かないと危ないよ」
「平気ですよ! あっ!!」
口ではそう言った晴美ちゃんが前を歩いていたギャル集団の先頭にぶつかった。
「いって〜どこ見て歩いてんだよ」
「あっ、、あの、ごめんなさい」
晴美ちゃんが慌てて頭を下げる。
んっ? 他校の生徒か、、それにしても随分と派手な格好だな、、無駄に厚い化粧、怪我しそうなくらい伸ばしている爪、下品な長さにまで短くしているスカート……。
こういう人種は、、いくら美少女であれ願い下げだな……。
それに、、たちが悪そうな連中だ……。
「ゴメンで済んだらケーサツいらないんだけど」
「あー、、こりゃまずいね。完璧に折れてるわ慰謝料出しなよ」
なんて、、古典的な脅しをするやつらなんだ……。
晴美ちゃんが怯えて、足がすくんでいる……。
そりゃそうか、、こんな人種、蒼海にいたとしても晴美ちゃんがいるような表のクラスにはいないものな……。
まぁ、、俺も慣れているわけじゃないし苦手な部類ではあるが……。
仕方ない、、ここは俺がどうにかするか……。
「……おい! あんたたち」
「あんだ? お前」
「こいつのこれ?」
集団の一人が親指をグッと、前に突き出した。
「ち、、違います!!」
そんなにはっきり言われると少し傷つくが、、
今はどうでもいいことだった。
「だっさ! 否定されてやーんの」
「キャハハ、ウケる」
くっそ、、いちいち腹の立つやつらだ……。
とは言え、、気にしていたらキリがない……。
「俺は彼女の先輩だ。晴美ちゃん、、彼女はきちんと謝ったんだ。それで良いだろう?」
「なーに? こいつ、ちょー生意気」
「先輩がかっこつけちゃう感じ? ムカつく、、やっちゃう?」
「やっちゃおやっちゃお」
女生徒の集団は、俺たちの周りを一気に囲んだ。
「せ、、先輩……」
晴美ちゃんが怯えた表情で、俺の袖を掴んだ。
「……大丈夫。晴美ちゃんは俺が守るから」
と、、いってもどうする……。
相手が男なら本気を出せるが……。
相手は、腐っていても女子……。
どういう状況であれ手を出せば確実に後にこちらが不利になる……。
いや、、そんなことよりも……。
例え、掃き溜めから見つけたゴミみたいなやつらだとしても、、女性に手を挙げるなんて俺のプライドが許さない。
だが、、それならどうする……。
逃げるにしても人数差がありすぎる……。
むやみやたらに能力を使うのも、、あまりよくない……。
なら、、いったい、、どうすれば……。
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