第20話 Marshmallow Justice その1

「旅は人を大きくさせるだぁぁぁ!!」


「黙れ!! 声がでかいんだよ!!」


 見てみろ、、大勢の人が、何事かと思って俺たちの方をガン見しているじゃないか。


 まぁ、、懐かしい光景だな……。


「なんだ薫、やけに冷めているなぁ、、そう思うだろ? 星奈」

「直、、少し静かにしてなさい」

「はーい」


 相変わらず、俺の注意に対しては反抗するのに、、星奈さんの言うことは素直に聞き入れるんだな……。


「井上君? 聞いてるの?」

「えっ!?」

「直が、騒いだのはもちろん良くことだけど。みんなの楽しい空気に一人難しい顔をしている井上君も、、良くないわよ」

「あっ、、すいません」

「楽しい旅行なんだから、楽しまなきゃ損や」


 そう言って、星奈さんが最後には優しく俺に微笑む。


   この笑顔を見るのはいつぶりだろうか……。


 俺たちは現在、、生徒会の思い出作りのために電車に乗り移動中である。


 そう、そういう状況だ。


 高校生にもなって電車の中でこんなにはしゃいだりすることなんてないし、本来は引率者である大人が注意すべきなのだがーー。


「むにゃむにゃ、、もう、食べられないよぉ……」


 漫画でしか聞いたことのない寝言を言っているのは【生徒会の顧問という肩書き】を持つ【ダメ教師】園部静菜(そのべしずな)26歳独身である。


 俺たちは親しみを込めて、静ちゃんと呼んでいる。


 その静ちゃんだが、、電車に乗った途端。


 缶ビールを開けるは、酔って俺たちに絡んでくるわ、仕事の愚痴を言い出すは、、


 ……とにかく、やりたい放題だった。


 まっ、、現在はこのように眠ってしまっているので人畜無害であり。


 さらに顔立ちも美女であるため、静ちゃんは俺のハーレム予備軍である。


 ただ、、この酒癖の悪さである……。


 まったく、、困った人だ。


「のんきなものよね、静ちゃんったら学校にバレたら即クビになるっていうのに」


 いつの間にか俺の横に移動してきた清美が、静ちゃんの頬をつんつんとつつく。


 静ちゃんはむぅーと言うかわいらしい声を上げるも、起きる様子はまるでなさそうだった。


「なーんで静ちゃん、教師になれたのかしらね?」

「さぁあな、、それでお前はどうしたんだ?」

「あぁ、晴美が持ってきたU○Oをやろうかってことになったんだけど、、やる?」

「U○Oとはまた懐かしいな。あぁ、俺も参加する」

「じゃあ、、はいカード」

「あぁ。サンキュ」


 清美から、カードを受け取る。なるほど、、中々悪くない。


「あっ、、星奈さんと直もやる?」

「あぁ、、私も参加したい!」

「いいわよ。私も参加するわ」


 清美はそれを聞くと、二人にも同じくカードを渡す。


 5人か、、結構大人数でやることになったな。


「カードはあたしに渡してこっちに置くから」

「あぁ、、わかった」

「星奈、手加減はなしだからな」

「えぇ、、もちろん。やるからには本気でやるわ」


「晴美、準備できたからそれしまって」

「はーい」


 晴美ちゃんは、わずかな時間とは言え暇潰しのためにやっていたP◯Pをスリープ状態にして鞄に入れた。


「よし! では、始めるぞ」


 こうして、俺たち5人は暇つぶしとしてU○Oを始めた。

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