第19話 コネクト ラスト
「……」
「直、あなたいつの間にそんなウィッグを、、というか、仕事はーー」
「とっくに終わっているさ」
「えっ!?」
「二人ともなかなか戻って来なかったからな、、退屈すぎて暇つぶしにペースを早めたら直ぐに終わってしまった」
直は満足したのか、ウイッグを取って俺の机の前まで歩いてきた。
「……俺たちをからかって楽しかったか? 直」
「むっ、、言い方は少し気に食わないが、仕事が終わったんだ。さっさとプールへ行くぞ、星奈、薫」
「悪い、先に行っていてくれ……俺はまだーー」
俺が言い終わるより先に、直は俺の腕を引っ張って立ち上がらせた。
「何を言っているんだ薫? お前が居なければ、誰が私たちの荷物を持つんだ?」
「直、悪い、、もう少し、、もう少しだけ時間をーー」
「ダメだ! 早く行くぞ! 薫」
直が、少し苛ついた様子で強引に俺の腕を引っ張る
「ッツ!!」
俺は、直の腕を振り払った。
「薫、、お前、私に刃向かうと言うのか?」
直が、威圧気味に俺をキッと睨み付ける。
「すまない、、直、、だが俺は、、俺は約束したんだ。必ず助けに行くと……」
「……本気か? 薫?」
「あぁ、、本気さ」
直はフッと笑うと、俺に一枚のメモ帳を差し出しそうと懐に手を入れる。
俺は、それを右手で掴んで止める。
「!?」
「直、、頼む……」
「……手助けは不要とでも言うのか?」
「あぁ、、それじゃ本当の意味で愛花を救えない……」
「……」
直は、少しだけ迷った表情を浮かべるもやがて小さく笑い俺に背を向けた。
「準備には、30分かかる。だから、、30分後校門前に集合だ。いいな、、薫」
「あぁ、、わかった」
「……行くぞ! 星奈」
「えっ!? ちょっと、、直! 待ってーー」
何も状況についていけてない星奈さんが、俺の方を一度チラッと見る。
俺は、そんな星奈さんに向けて小さく笑うと星奈さんは唇の動きだけで『あとでせつめいしてもらうわよ』と言うとそのまま図書室から出て行った。
さて、、どう説明したかは……過ぎ去った時間の俺に任せるとしてーー。
まぁ、、直や星奈さんとプールに行けないのは正直悔しいが……。
まっ、、それは、星奈さんに怒られた俺や、、この後直や星奈さんに一生懸命説明する俺へのご褒美にしておこう……俺はーー。
「正直、、あまり使いたくはなかったが……」
俺の目の前にパズルのピースのようなものが無数に現れる。俺は、色がついたものを判別しそのまま組み上げていく。
やがて、一つの場面が出来上がる。
その場面は、、電車の中、、みんなとの合宿当日の日だ。
「さて、、舞台は整った。少し、反則的だがいつもより回り道をするんだ、、許してくれるよな? 直」
俺は、答えが帰ってこないのがわかりつつ目を閉じる。
瞬間、、俺の周りに突風が吹いたような気がした。
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