第16話 コネクト その5
「ここは……」
「……おはよ、、かおる」
俺のそばで笑う女声は、優しい表情で俺を見ていた。
「由梨……」
「ネタバレしちゃっていい?」
そう言って、子供みたいな無邪気な笑みを浮かべる彼女の言葉を否定は出来なかった。
「本物の愛花ちゃんを見つけてあげて」
「……それは、、いつもとは違うということか?」
「……偽物の彼女を否定してもダメだけど、、本物の彼女を見つけるには偽物の彼女は障害になる」
「……どちらも愛花だ……」
「!? ……かおるなら、そう言うと思った」
「由梨……」
「またね、、かおる」
「やっと気づいたか、、この馬鹿……」
辺りを見回すと、ベッドがたくさんある。いつもの保健室にいるようだ。
「あら、、目を覚ましたのね……井上君」
星奈さんが優しい笑みを、俺に向ける。
「俺は……」
「情けないぞ薫、熱中症なんかになって、、後で愛花に礼を言っておけよ」
「あぁ、、そうだな……」
「……薫?」
「星奈さん、、愛花は?」
「えっ? えぇ、、愛花はあなたを保健室に連れて来て、、その後生徒会に来て、私たちに知らせてくれたのよ」
「そう、、ですか」
「……では、、私と星奈は帰るぞ」
「あぁ」
「じゃあな……薫」
「また、、ね? 井上君」
何かを納得した直と、困惑してる星奈さんが見えなくなるまで俺は手を振り保健室を後にする。
「やっほー! 井上薫」
校門を出ると、、【いつものように】愛花が手を振りながら俺を呼ぶ
「……愛花、、ありがとな」
「んっ? 何が?」
「熱中症の俺を、保健室まで運んでくれたんだろ?」
「あぁ〜それかぁ! 気にしない気にしない!! 困った時はお互い様ってやつよ!」
愛花は笑って、そう答える。
「……今度、、お礼に何か奢るよ」
「いやいや〜そんな気を遣わなくていいってば~」
愛花は両手を大きく左右に振りながら、遠慮していた。
「……何でも良いから、、お礼させてくれ」
「え~じゃあ、、一つだけお願い聞いてもらっていい?」
愛花は小さく笑いながら、尋ねる
「……あぁ。俺に、、出来ることなら、、な」
「それは大丈夫! ……むしろ井上薫にしか出来ないことだし」
「……そうか、、それで何をーー」
「あのね!!」
《ズブッ》
「なっ、、なんで!?」
俺の胸に、鋏が突き刺さる、、そのはずだった。俺はその鋏を左手で掴んでいた。
「どうして? なんで、、なんでーー」
「何度も刺されていれば、、流石にな……それにけっこう痛いんだぞ……」
「何度も……もしかして、、覚醒してるの?」
「ここでは、、初めてだな? 【時間旅人(クロノス・ディレッタント)】
「……反則だよ、、そこまで知ってるのはーー」
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