第15話 コネクト その4
俺が振り向くとそこには直が、俺をじっと見つめながら立っていた。
「なるほど、、どうやら、躾が足りなかったようだな……」
俺の額から、大量の汗が流れ落ちる。
ヤバい……。
「ははは、、直……お前、いつの間に? ……なーんて、、俺が本気で動揺すると思ったか? 愛花?」
「おりょ?」
俺の対応に愛花は、少し驚いた表情を浮かべた。
「確かに、一瞬焦ったぜ。だが、、勉強不足だったな。直はどんな状況であれ、、俺のためには動かない!! ましてや、こんな暑い日はーー」
俺の発言を途中に、直が俺の腹に鉄槌の右拳の一撃を加えた。
「ごはっ……」
内臓にまで届く痛みが、全身を巡る。
「あーあ、、怒っちゃった。ほら、、さっさと謝った方が良いんじゃーー」
「愛花、、無駄だ……いくら精巧に俺の記憶から作り出したとしても今目の前にいるのは直じゃない……」
俺の発言に対して、愛花がうすら笑みを浮かべる。
「お前が、、どんな不思議な力を持っているかはわからないが……残念ながら俺には通用しないぞ、、直を知り尽くしてる俺にはな……」
「……」
「悪いな、、愛花……俺は、本物の直の所に戻るぜ……」
姿は直であるものが、続け様にもう一撃腹に右拳の鉄槌を放つ。
骨が軋む嫌な音が聞こえた気がした。
「……」
愛花は変わらずうすら笑いを浮かべ、俺を見下していた。
俺は、目の前の直のような何かをを無視して一歩踏み出す。
刹那、左拳が俺の腹部を抉るように入る。
意識が遠のいていくのを感じる。
「くすっ」
だが、、俺は精一杯の力を振り絞って意識を保つ。
「またな、、愛花……」
俺は愛花に笑顔を向け、また一歩踏み出す。
「またね、、薫」
そう言って愛花に笑顔を向けて歩こうとした時、体がぐらりと揺れその場に倒れーー。
『まったく、、相変わらず無茶するなよ。お前……』
意識がなくなる寸前、、俺の脳裏に声が響いた。
それはとても懐かしくて……。
そして、、優しかった。
「やりすぎ? だ、、なんて言わないよね?」
『むしろ、、いつもより優しくねぇか? 愛花?」
「そう、、かもね。由梨ちゃんの力かな? あんまり上手く力を使えないんだよね?」
そう言うのと同時に、目の前の直だったものが霧散する。
『じゃ、、いつものようにかおるを頼むぜ』
「うーん、、その必要はないんじゃないかな?」
周りの景色が反転し、色が消えていく。愛花から笑顔が消えた気がした。
『なんだよ、、これ……』
「流石のかおりもこれには動揺するんだ?」
『お前!! っつ!? 愛花、何を知ったーー」
「何も知らない、、知りたくもない……。だってあたしはーー」
所詮、、偽物だから……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます