第7話 ナイショの話 その7

 それぞれに帰り支度を済ませ、みんなは次々に生徒会室を後にするのを見送り。


 俺は、まだ残っている雑務の処理を始めることにした。


 ……どれぐらい経っただろうか? 


 俺はふと時計を見上げ、時刻が夜の8時をまわっていることを知った。


「そろそろ、、んー帰るか……」


 俺は軽く伸びをし、誰に言ったわけでもない独り言をポツリと呟き帰り仕度を始めた。


 その時、、ふと背後に、何かの気配を感じた。


 気配の方を振り向くと、そこには愛花が立っていた。


「……何してるんだ? お前は、、こんな時間に?」

「あんまり驚かないんだね」


 そういって愛花は笑った。


「生憎と、、こういうのは慣れてるんでな……」


 俺は、皮肉混じりに答えた。


「流石、狂気のマッドサイエンティストは違うねぇ〜」

「そんな、冗談を言うために来たんじゃないだろ?」

「お〜鋭いね〜もしかして、あたしが本当は何者かわかってたりする?」

「薫(かおり)……ではないよな?」

「ん~半分正解、、かな」

「半分? どういうことだ?」

「それはーーおっーと! この話はまた今度ね。じゃね〜井上薫」

「おい!! 待て!!」


 愛花はそう言って煙のように姿を消した。


「なんなんだあいつは……」

「……なんだ薫……まだいたのか」

「直!?」


 生徒会室の扉がガラッとした音を立て開き、音の方を向くと直と目があった。


「お前、、なんでこんな時間に?」

「んーこれを取りに来たんだ」


 直が自分の机の中から、純白のパンティーを取り出した。


「なっ!?」

「私としたことがついつい入れて置いたのを忘れていてな。ついさっき、思い出して取りに来たんだ」

「お前!! 一日目からいきなりルール破ってんじゃねぇか!!」

「んっ? 何をいっている、これは替えの下着だ」

「なんだ、、それならーーって!! なんで、替えの下着が机の中にあるんだよ!!」

「まったく。これだから薫は……もし、盗まれた時にノーパンにならないためだ」

「だから!! 履いてるパンツをどうやって盗むんだよ!!」

「それは、、お前の大好きな厨二的スキルで……」

「ねぇよ!! んなスキル!! 厨二舐めんな」

「じゃあもし、仮にあったら貴様はどうだ?」

「超欲しいです!!」

「正直なやつだ。それより、、さっき誰かここにいなかったか?」

「んっ? 愛花がいたが」

「そうか……」

「それだけか?」

「それだけだ」

「ったく……用が済んだんなら早く帰れーー」

「お前はまだ帰らないのか?」

「いや……そろそろ帰る……」

「そうか……なら、たまには一緒に帰らないか?」

「んっ? あっ、、あぁいいぜ」

「そうか……」

「あぁ……」


       えっ? 何どうしたの? 

 

     今日の直は、こんな誘い普段ならーー


「何をしてる? 早くしろ」

「なぁ、、急いでるなら先に帰ってもーー」

「薫は、私と帰りたくないのか?」

「いや、、そういうわけじゃーー」

「なら、帰ろう。もしかして時間かかるのか?」

「いや、、すぐ終わると思う」

「そうか、、じゃあ待ってる」

「あっ、、あぁ。悪い」


   マジでどうしたんだ、今日の直は……


    普段なら絶対にこんな風にーー


「薫?」

「あっ、、あぁ行くか」

「あぁ」


 どうしたってんだ本当に今日は……?


 そんな疑問を残しつつ、俺は直と共に学校を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る