第6話 ナイショの話 その6
「あいつぅ!!」
「どこへ行くんだ? 薫」
「決まってんだろ!! あいつからさっきのーー」
「さっきの? あぁ、、それなら大丈夫だ」
直が星奈さんに視線を向けると、フィルムをひらひらさせながら持ってる星奈さんがニコニコ笑っていた。
「つまりは、そういうことよ。確か、、愛花って言ってたかしら、、残念だけど、さっきの瞬間を彼女はカメラに残せてはいないわ」
「星奈さん、、いつの間に……」
「あら? 隙ならいくらでもあったじゃない?」
星奈さんはそう言いながら、ニコニコと笑っていた。
「さすがというか、、なんというか……星奈さんだけは、絶対に敵にまわしたくないわね」
清美が、ぽつりと呟きつつ肩肘をついて机に座った。
「それにしてもなんだったんでしょうか? あの人は」
晴美ちゃんが、愛花が去っていた方角をキョロキョロ見ていた。
確かに、、性格は難ありだが、あのレベルの美少女を俺がノーマークのはずがないんだが……。
「……彼女は、、学園の七不思議の一つよ」
星奈さんがぽつりと、真面目な表情で呟いた。
「七、、七不思議って……あああ、あの人おば……おばーー」
晴美ちゃんがガタガタと震え出し、清美がゆっくりと近づき、晴美ちゃんをハグした。
「ちょっと星奈さん、あんまり晴美をからかうのはーー」
「……」
「星奈、、さん?」
星奈さんの表情は変わらず、ただからかっているだけではないことが伝わってきた。
「星奈、詳しく話してくれ」
「彼女は、、どこのクラスにも名前がないの、、いいえ……正しくは、、いつからこの学校にいるのかわからない……」
「それって、、つまり……」
「嫌ぁぁぁ!! やっぱりお化けぇぇぇぇぇぇ!!」
悲鳴をあげた晴美ちゃんは、清美に抱かれながら気を失った。
「ちょっと!! 晴美」
清美が慌てて晴美ちゃんを揺らすも、反応はなかった。
「でも、、星奈さん、愛花が本当に晴美ちゃんの言うような存在ならーー」
「えぇ、もちろん。すでに数人の神主やら、霊媒師やら、エクソシストやらがこの学園に訪問してなんとかしようとしたけど……みんな結果は同じ。その中には彼女はそういう存在でなく実際の生徒じゃないかって言い出す連中もいたわ」
「ふむ、、かなり厄介なのだな。彼女は……まぁ、、なんであれこの学園にいる以上、彼女も、、愛花も私の大事な人だ」
星奈さんの話の続きがまだまだ気になるこの話題だったが、この直の一言で終わりを迎えた。
「……そうね」
星奈さんはただ一言、そう言って頷いた。
これ以上会議をする雰囲気ではないという空気になったため、本日の生徒会はそのままお開きになった。
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