第5話 ナイショの話 その5

「……以上!」

「ちょぉっとまってぇぇぇぇぇ!!」


 彼女の俺の評価に対して思わず大声をあげた。


「あ~冗談、冗談」


 そう言って彼女は、愛想笑いを浮かべた。


「えーっと、、後はぁ……あー自称ハーレム王(笑)」

「(笑)はいらん!! 俺は、ハーレム王だ!! すでにこの生徒会メンバー全員の好感度はーー」

「恋愛値で言うなら、ゼロだ」


 直が俺の前に、立ち塞がり仁王立ちになる。


「ちょっ!! 直!!」

「黙れ、バカ狗、、ご主人様が話しているんだ。口を閉じろ」


 直が、なーんか、、怒ってらっしゃる。


       えっ? なんで?


「狗? ご主人様? うわぁ、、倉沢直と井上薫ってそういう関係だったんだぁ……ちょっと、引くわぁ……」

「なっ、、違う!! 俺とこいつはーー」

「そうだ!! 私と薫は、ずっと昔から主従関係にあるからな!!」

「いや、、そんなーー」

「黙れと言っただろう!」

「YES your Queen」


 なんで、、俺、、ギ◯スかけられてるんだ?


「ずっと昔、、ねぇ……」

「そうだ。私と薫は、幼なじみだからな、、小さい頃からの」


 おい、、直……それは前の、、俺の物語の設定でしかなーー。


「ふーん……」


 彼女は、ゆっくりと俺に近づき値踏みするように俺を見つめていた。


「なっ、、なんだよ……」

「面白い設定考えたね、、けど……」


 彼女は、顔を俺に徐々に近づけ……。


「!!!!!!!!」

「なっ……!!!」


 俺の唇にキスをした。


「あたしには、、通用しないよ……だって、あたしは【真実】を知ってるから」


      真実……だと……。


「そうでしょ? 井上かおりちゃん? それとも、、由梨ちゃん、、かなぁ?」

「なっ!!」


 こいつ、、何で? なんで? その名前まで……。


 この頃の彼女は、、かおりは知ってても由梨のことはーー


「あはっ! その顔見る限りじゃ、あたしのが一枚上手みたいだね」


   なんなんだ、、どうなっているんだ?


「お前、私の狗に容易く触れたな?」

「直!! 落ちつーー」


 俺の言葉が終わる前に、直の唇が俺の唇をふさいだ。


「先輩っ!?」

「ちょっ……!!」

「あらら〜」


 残りのみんながそれぞれの反応で驚いていた。


 俺自身も何が起きたのかまるでわかってない。


    いや、、理解は出来るんだが……。


「消毒完了だな。薫よ」


 直は静かに俺から離れ、ニヤリと笑った。


        消毒って……。


《カシャ》


「「!!!!!!!!!」」

「倉沢直と井上薫の関係はやはり、恋人通し? ん~いいネタが手に入った!!」


 少女はフフフと、してやったりな笑みを浮かべた。


「なっ!! まさか、最初から!!」

「まぁ、、これは予定の一つだけどね。けど、想定したのとはちょっと違ったかにゃ〜」

「お前、、ただの新聞部じゃーー」

「かおり……」

「んっ……!」

「むふふふ〜しばらくは内緒にしといてあげるね! あっ! それ、から〜一応自己紹介しておくね。あたし! 草野愛花。それじゃバァ~イ!!」


 そういって愛花は手を振りながら、生徒会室を後にした。

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