第6話 魔具

コールマンは兜を脱ぐと投げ捨てクラウドを睨みつける。そして戦鎚を掲げるとその戦鎚は紫色に輝き始める。そして勝ち誇ったかのようにニヤリと笑う。そのコールマンを見たクラウドは舌打ちをするとまるでコールマンへの興味が無くなったようでタバコを取りだし、火をつけ紫煙を上げる。コールマンはクラウドのタバコを戦鎚は使わず、上段蹴りで火を消すと「馬鹿にするのも大概にしろ、貴様の様な傭兵に我が家に代々伝わる家宝の真の力を使うのはもったいないが貴様の死体など残したくもないので、使ってやる」と息巻く。クラウドは再びタバコを取り出すと口にくわえ、火をつけると手をポケットに入れ、何も言わずにただコールマンを馬鹿にしたような顔で見続けている。


「その顔は気にいらんが降伏か?降伏したら楽に殺して貰えると思っているのなら大きな間違いだぞ?」とコールマンは言う。クラウドはタバコを吸っているのみで一言も発しない。そのクラウドの姿にコールマンはさらに苛立ちを募らせる。とうとうクラウドがタバコを吸い終わったタイミングでクラウドは口を開く「…そんなモンに頼るならもう興味はねぇ、とっとと消えるか殺されるか選べ」と完全にコールマンへの興味が無いことを口にする。コールマンはその言葉を聞き「家宝に対し…そんなもん…貴様ァ!!!」とコールマンは叫ぶと大上段に戦鎚を構え、クラウドの頭部目掛けて振り下ろす。


クラウドは戦鎚の柄を掴み、戦鎚を止めた。そして離すと同時にコールマンの腹部目掛けて蹴りを放つ、コールマンはその威力で大きく下がり、膝をつく。どうやらコールマンは蹴りの威力で息が出来ていないようだ。そのコールマンを見下ろしクラウドは「…さっき俺のタバコの火を蹴りで消したのはその戦鎚に何かしら能力がある、すなわち魔具、だろう?そしてその能力は連発が出来ない、だから俺の頭を叩き潰すと同時にタバコを消したらいいものを当てる自信がなかった為蹴った。」そう言いながらゆっくりとコールマンへ歩み寄り続ける「そしてその紫色の輝きその輝きはどの魔具にも共通しているがその物、もしくは使用者の魔力の属性を表している、紫ということは炎属性と氷属性、そしてお前の鎧から察するに代々炎属性に適性があり、それを強くするためにそいつが作られた、だが何故かお前は氷属性の適性があり、そいつは紫に光るようになった。」


クラウドの言葉を聞き、コールマンは顔が青ざめていく。そしてクラウドはコールマンの髪を掴むと「大方2種類の属性が操れる天才騎士、とでももてはやされ、調子こいてやがった、血筋だけでなく魔具の力と自らの魔力属性で負ける、とは一族もそこの能無し野郎も思ってなかった。だから俺とやり合える実力も無いのに偉そうに講釈垂れながら立っていた。」コールマンはもはや先程までの騎士団団長らしき誇り高き姿も無く、ただクラウドに髪を掴まれている為かろうじて立っているだけの情けない姿を国王に晒していた。


クラウドはただ淡々と言葉を続ける「言ったよなぁ?殺されるか逃げるか選べ、と親切に俺がそう言ってやってるのにも関わらず、自分と相手の力がどれだけ違うのかも分からず、てめぇは残った。となるとこれからどうなるかは分かってんな?」と言うとクラウドはコールマンの顔面を床に何度も叩きつける。コールマンは少しでもダメージを少なくしようと手でガードしようとするが1度の叩きつけで骨が砕け、手の甲から砕けた骨が飛び出し、更にダメージを大きくするだけの結果になった。8度ほど顔面が叩きつけられ、コールマンの鼻と歯が全て折れ、元の顔が想像できないほど歪んだ所でクラウドは懐から小太刀を出し、コールマンの喉元を切り裂き、コールマンは息絶えた

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