第4話 鎧

クラウドが笑い出すと国王、そして騎士たちは呆気に取られ、硬直するがすぐに我に返る。そしてクラウドへ向けて「重装甲の騎士に囲まれ、さらに貴様のお得意の格闘技術ではどうにも出来ないリーチの差がある槍を相手にしなければならない恐怖で気でも触れたか?」と嘲笑う。その言葉を聞き、クラウドはさらに声を大きくして笑い始める。余りの不気味さに一同は黙り込み、謁見の間にはクラウドの笑い声のみが響き渡る。


するとクラウドは突然国王を指さし「テメェもテメェが呼んだこいつらも纏めて地獄に叩き落としてやるから楽しみにしとけや」と言った。その一言を皮切りにするように1人の騎士が彼を串刺しにしようと槍を放つ。が刺さらず、さも余裕げに片手で柄を掴み、そのまま騎士を持ち上げると国王めがけ槍ごと投げつけた。すると国王の背後よりもう1人騎士が姿を現し、手にしていた戦鎚で投げ飛ばされた騎士を撃ちすえて国王を守った。


その騎士の名はコールマン、敵国の人間が見れば逃げ出すこの国最強の騎士団の団長であり、その戦鎚で数百人を殺めているという話だ。人によってはクラウドと同じくらいの剛腕を持つ、と言わせるほどの実力者である。彼はクラウドの顔を見ると騎士へ向け「一人で行くな!!囲んでいる意味が無かろうが!!纏めて突き刺し!!首を取れ!!!」という言葉に騎士たちはオウ!!と言うと一斉に様々な高さで槍を放つ。コールマンはニヤリと笑い、囲まれ、完全に同じタイミングで様々な高さで放たれる槍での突き刺し、悪名高きクラウドといえども流石に躱しきれず、息絶えただろうと玉座の横にて仁王立ちで見下ろしている。


ピチャリ、という粘性を持つ液体が滴る音が謁見の間に響く、国王、そしてコールマンを初めとした騎士たちはクラウドを仕留めた、と思ったがすぐにクラウドの笑い声でその考えは間違っていたと思わされる。クラウドは確かに完全に躱しきれてはおらず、脇腹をかすめるようにして致命傷を避けている状態であり、出血をしていた。コールマンはその姿を見「強がりはよせ、脇腹を掠めている、貴様はそこまでだ」と淡々とクラウドは向けて言い放つ。それに対しクラウドは「これでおしまいだァ?舐めてんじゃねぇぞケツの青いボンボンがよォ」と言うと右足を半歩前にし、拳を構えた。そして目の前の騎士へ向け「アバよ、ゴミクズ野郎、耐えきれるもんなら耐えてみやがれ」と言うと右足を軸に踏み込み、目の前の騎士にアッパーを放つ、重装甲の為数センチのみ空中に浮くが何度も何度もクラウドのアッパーを喰らい続ける。そしてクラウドが動きを止めると殴られていた騎士

は胸部の装甲が完全にへしゃげ、肋骨が折られたのであろう、吐血して息絶えている。


その姿を見てコールマンは眉をピクリ、と動かす。クラウドはそのコールドマンを気にもとめず、次の騎士へと襲い掛かる。襲いかかられている騎士は槍を手放し、重装甲の鎧の重さを乗せた拳をクラウドへ放つ。クラウドは避けもせず、真正面からその拳を受けると「効かねぇなァ?あと知ってっか?てめぇらがバカにした体術にはこんな技もある」と言うと騎士の胸部へ向け掌底を突き出す。バキン、という音がすると騎士は膝から崩れ落ち、血の泡を吐きながら息絶えた。


クラウドは国王、そしてコールマンへ向け「鎧が厚ければ格闘技は効かない?見ての通りてめぇらが無知なだけだ、やり方は幾らでもある。それが出来ない奴らが2流3流なだけだ。それすら知らず得意げに重装甲で槍を持った騎士に囲まれ気でも狂った?舐めてんじゃねぇ」と悪魔の様な笑みを浮かべる。そしてコールマンを指さすと「そのまま待ってろや、この雑魚共を片したら次はてめぇと遊んでやる」と言うと次から次へと騎士達へ掌底を叩き込んで行く、すると騎士達は皆血の泡を吐き出しながら死んで行った。

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