第3話 自害

団長は自分の部下たちをたった1人に壊滅させられ、更に友人の信頼をも裏切ってしまった、という事実に様々な感情が入り交じり、友人の亡骸の手を握り、泣き崩れてしまう。すると先程まで自分が隠れていた柱の方からボッと言う音がしたと思うとタバコの匂いがし始める。「…所詮は畜生だな、どの国でも貴族だ王族だ、とほざく奴らはそうだ」と言いながらクラウドがゆっくりとタバコをふかしながら姿を現す。


クラウドの姿を見ると団長は気づいてしまう。友人を殺した後、クラウドは何時でも自分を殺せたのにも関わらず、あえて出てくる迄待ち、部下達の遺体を見せつけている、そして恐怖心から手足にも力が入らなくなり、立ち上がることはおろか剣さえ持てないということに気がついた。その様な団長の姿を見てクラウドはさらに「…テメェはトコトン畜生以下だな、友人の信頼を裏切り、更に友人を殺した怨敵が目の前に居るのに武器さえ構えねぇ!!テメェなんざ生きている資格はねぇ!!」と言い、団長の髪を掴むと顔面へ拳を放つ。鼻が折れ、血が吹き出し燃えるような痛みが団長を襲う。


クラウドは更に団長の顔面へ拳を放つ。そして団長が自らと真正面から向き合う様に持ち上げると「腰抜け野郎が!!騎士団長かなんか知らねぇが抵抗1つ出来ねぇ分際で偉そうな肩書き持ってんじゃねぇ!!」と言う。すると団長がボソリと何かを言う。クラウドはその言葉が聞き取れず「抵抗も出来なけりゃ話すことも出来ねぇか?ゴミクズが!!」と言う。すると団長は「…お前なんかに…言われてするんじゃない、この国の皇子として、そして近衛騎士団団長としての覚悟…見せてやる!!」とハッキリ言うと隠し持っていたナイフを取り出す、そして「我が名はベルナール!!お前なんかに殺されるくらいなら誇り高き自害を選ぶ!!」と言うと自らの首をかき切り事切れた。その団長の姿を見てクラウドは「…自害、だと?巫山戯んじゃねぇ!!逃げただけだろうが!!」と言うと団長の握っているナイフで団長の首を完全に切り離すと髪を再び掴み、謁見の間へ歩いていく。


謁見の間までは王宮へ辿り着くまでの同じく、全く人ともすれ違わずにたどり着いた。謁見の間の象徴でもある玉座には国王が座っており、完全には状況を把握してない様子で居た。

「クラウド、どうした?その血はお前の血か?」と余裕そうにしていた。クラウドは怒りのあまり青筋を立てそうになるが口調は落ち着いた状態を装い

「…何しに来たのかはあんた自体が1番分かってんだろ?…この俺に対してあんな贈り物をしてくれるなんてよ」と言うと国王はなんの事かな?と顎を触りながらとぼける。クラウドは溜息をつきながら「…手土産だ、大切に取っときな」と言うと手にしていた近衛騎士団団長であり、目の前の男の息子の物であった首を投げつける。


国王は投げつけられたものが何か分からない様子であり、落としかけるが何とかキャッチし、目にする、すると息子の首であった、余衝撃にヒッという声を上げ、首を落としてしまう。その姿を見てクラウドは鼻で笑う。国王は「貴様!!よくも我が息子を!!生きてこの国を出れると思うな!!」と立ち上がりながら豪語する。そして大声で「衛兵!!曲者だ!!こいつを血祭りに上げろ!!」と騒ぐ。すると10名ほどの重装甲の鎧を着込み、槍を持った騎士が現れ、クラウドへ向け槍を構える。


その騎士団へ向け国王は「そいつを殺したものにはなんでも褒美をやる!!だが我が息子の仇だ!!苦しめて殺せ!!」と言うと集まった騎士達は「我々の子供の仇、取らずして何が人の親だ!!陛下に言われずとも貴様は苦しめて殺してやる!!」と言いながらクラウドを取り囲む。クラウドは自分を取り囲む騎士達と国王を見回すと笑い出した。

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