ハネムーン

バブみ道日丿宮組

お題:神の海 制限時間:15分


ハネムーン

「ずいぶん遠くまできたものだね。水平線がとてもきれい。神様がいる海ってここは言われてるみたいだよ」

「仰々しい名前だね。聖皮っていう場所なのに」

「それは通称であって、本来はヒノクニ海というものだよ」

「だいぶ違うんだね。一文字もかすってない」

「聖皮ってのは朝見られる光景だね。海に霧がかかって、太陽の光を浴びる。それが人が持つ棒状のものを包み込むような聖なるものに見えるとかなんとかだよ」

「ふーん。それも見たかったな」

「またくればいいよ。ハネムーンじゃなくてもこれるはずさ」

「仕事がなければないいんだけどね」

「自由に休めないのは僕も気になってるところだ。きちんと土日は家にいてほしいものだよ」

「その代わり有給休暇が普通の会社の3倍は取れるからね」

「たくさんあっても自由に取れないんだから、まるで意味がないよ」

「ハネムーンに3週間もくれてるんだから、しっかり楽しまないと」

「何度も聞いてるけど、そんなに休んで平気なのかい?」

「仕事は区切りをつけたし、客先の問題は後輩が担当してくれてる。俺が出る場面は今はない。また新しい仕事を始めたら、まぁ……別になる」

「そうか。そうなら、もっと楽しまないとすぐ終わってしまうね」

「なるべく、楽しい時間を過ごせるように俺も頑張ってみるよ」

「いるだけでだいぶ違うよ。あんなに広い部屋に一人でいないってのもすごく新鮮でいいし、寂しくない」

「買い物はなるべく大きくしたかったからね」

「だからといって、5LDKをぽんと買うとは思わなかったよ。しかも都心」

「ボーナスがかなりでたからね」

「君なら普通の給料でも買えそうなイメージがあるよ」

「貯金は部屋の10倍ほど溜まってるよ。なにかあったら、君に遺産として付与される」

「嫌なことを言わないでくれ。遺産を狙ってるわけでもないんだから」

「そうだね。お小遣いはあげてるし、足りないってことはないだろうね」

「ソシャゲは完凸できてるし、部屋を快適にする家具も取り揃えた。十分だよ」

「なら、よかった。じゃぁ、他の場所に行こうか」

「うん、こまないうちに別の場所にいこう」

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ハネムーン バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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