親子

バブみ道日丿宮組

お題:許せない息子 制限時間:15分


親子

「そろそろ歩き始めるべきだろうか」

「そう思うならリハビリを進めるべきであろう」

「そうなのか。ここでも十分な生活をできてるのに、これ以上を望むのは愚かなことではないだろうか」

「今はそうであっても、これからはわからない。お金があるからここにいられるだけで、お金がなくなってしまえばすぐに追い出される。それが病院という場所」

「だとしたら、永遠だ。いらない社員、物品、会社を売って財はかなりある。仮に年数で数えるならば、千年単位で過ごすことができるだろう」

「それでもここから出てくべき」

「丁寧語を使う親に何一つとして誇るべきものがない場合は、従ったほうがいいのだろうか」

「それでも親に違いない」

「親の威厳がないのに親とは意味がないだろう」

「親というのは子に意見をきちんという人。例えそれが不適合な相手であっても」

「許せない子供というやつか。家に散々お金をつぎ込んだというのにその扱いは酷くないだろうか? 俺にもっと金を稼げと言いたいのだろうか」

「そんなことではない。動かせられるものを動かせるようになる。それが基本としてあるだけ」

「必要のないことを必要でないとすることはそんなにもいけないことだろうか」

「違う。これからはわからない。未来のためにしたほうがいいことをアドバイスしてるだけ」

「なるほど。一理あるかもしれない。とはいえ、動かない足であるならば、新しい足を培養して移植すればいいだけのこと。その研究を今から始めればいい」

「その間のケアは一体誰がすると思ってる」

「別にそれは親でなくても構わないだろう。お金を出せば、足の指を舐める存在もいる。何事もお金が全てだ」

「まともな生活をして欲しい。そう願ってはいけないだろうか」

「いけなくはない。ただ、俺にとっては不必要だということだ。とはいえ、尿意を感じ毎度ナースを呼ぶのも面倒なことだ」

「だったら……」

「そうだな。リハビリというのを始めてみよう。もちろん、お前も付き合うのだぞ」

「私は、もう動かない」

「動かないものを動かせるようにするのではなかったか? 息子がやるのだ。母親であるお前がやらなくては示しがつかないぞ」

「わかった。話してくる」

「あぁ、こちらは準備しておくぞ。リハビリルームまでは手だけでいこう」

「ちゃんと車椅子を使って欲しい」

「この方がリハビリにもなるだろう」

「腕の筋肉は足の筋肉と繋がりがない」

「運動不足は解消できる」

「わからないけれど、わかった」

「では、いけ。医者も忙しい頃であろうからな」

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