東京の監視者
バブみ道日丿宮組
お題:東京のパイロット 制限時間:15分
東京の監視者
「都市の運営はうまくいってる?」
部屋に入ると、少年は問う。
「どうだろうか」
そこには10個のモニターを見つめる少女がいた。
「犯罪は減った」
「そりゃ、どこにでもカメラがついちゃあ。犯罪してもすぐ捕まるものね」
少女は監視員の一人。
仕事は犯罪が起こってないかを確認し、都市の安全を防ぐこと。
モニター前に設置されてる赤いボタンですぐにセキュリティがモニターに写ってる場所に向かう手はずとなってる。
少女もかれこれ数十回という数の通報を行ってた。
だからこそ、部屋の至るところに勲章や、トロフィー、賞状といったものが並べられてる。ただ、少女にとってはどうでもいいことなのか乱雑に転がってるものもある。
「なかなかめんどくさい仕事だよね。こうして子供が見なきゃいけないんだなんてね」
「学習は幼児で終わってる」
機械を頭に埋め込まれてることによって、勉強という概念はなくなった。
いつでもどこでもコンピュータが検索、計算を行う。ただ、個人情報の漏洩はないように、コンピュータは秘匿性に包まれてる。それでなにか犯罪行為ができるわけもなく、運営はかれこれ数百年という月日が流れてる。
そうだというのに、セキュリティは未だにアナログ対応。
「そうだね。僕もそれで仕事があるからね。まぁ配達員なんて誰がやっても同じような気がするんだけどね」
少年の手にはお盆が。その上には炒飯と思われる物体が乗ってた。
「セキュリティがある部屋に入れるのは、資格を持った人。しかも、行動が監視されてる」
「そうなんだよねぇ。おかげで大好きなことちゅっちゅしたりするのも抵抗がでてきちゃうね」
「そんな相手いるんだ」
はぁというため息。
「君だよ、君。もう何度も言ったよね」
「そうかな」
少女は会話をしてるときもモニターから目を離さない。
「そろそろパイロットモードにしたら」
「確かにお腹がすいた」
パイロットモード、機械が監視するモード。精度は低い。怪しい行動をしてる人、犯罪をしそうな人という曖昧なものは機械にはできていなかった。
だからこそ、監視員なんてものが存在してる。
「ほら、ご飯食べよう」
少年が部屋の中心にあるテーブルに二皿の炒飯を置く。
「今日は一緒に食べれるんだ」
「そう。お腹すいた」
そこでようやく振り返った少女の目は、赤く充血してた。
東京の監視者 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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